Scenery seen from multiple exposures of elements
写真撮影における技術の一つで、1コマの中に複数の画像を重ね写し込むことを多重露出、二重写し、二重露光などと呼ぶそうです。小生のようなレベルの低い者が行う考察でさえ、この二重露光という表現に似た感覚を覚える事が偶に存在します。MONTY’S GAMBLEにおいても複数の要素に焦点を当てていた際、ポイントから外れた位置にうっすらと像が結ばれる・想起される現象が幾度か訪れる事がありました。結ばれた焦点は二つの市街地、NIJMEGEN(Area28)とARNHEM(Area13)。ユニット数・戦力値・補給に関する事項など、複数の要素が絡み合う考察の先に、ぼんやりと見える結論は、「この両市街地に対し一定の影響を与えない限りゲームの勝利者にはなれない」そういう関係にこの両都市はあるように感じます。
今章は予定通り、英 第一空挺師団(以下、Red Devils と表記)に視点を移し部隊の作戦担当地区における考察を致します。この戦域は今まで考察した戦域は少々様相が異なります。ドイツ軍支配地域の最奥でもありドイツ軍戦力が最も集中しやすい地域でもあること。この利点がアドバンテージとなり英 第一空挺師団への圧力を強めていきます。このために作戦のイニシアチブは、全体を通してドイツ軍が握る展開になり易いようです。
強い抵抗を受けながらも可能な限り多くの部隊をARNHEMに送り込みたい連合軍プレイヤーも兵站デポと増援の降下地点をないがしろにしては、早々にゲームの拮抗を壊してしまう危険に陥るでしょう。要はRhine River 北岸に降下したRed Devilsをどのように展開するか、という問題です。
対するドイツ軍は全戦域を俯瞰しながら、ARNHEM北岸に登場するドイツ軍主力をこれもまたどのように展開するかに頭を悩ませる事になります……ゲームデザイナーはプレイヤーに戦略的思考のセンスを問う課題をマップ上の至る処に提示しているようです。ドイツ軍プレイヤーは寄せ集めの部隊を如何に纏め上げ、Red Devilsが君臨するARNHEMの奪還に結び付けるのでしょうか。
それではRed Devilsこと英国軍 第一空挺師団の降下開始と参りましょう。
考察はMONTY’S GAMBLEにおける基本ルールを用いたゲームを対象としています。 Rulebook22.0 THE EXTENDED GAME / Rulebook23.0 OPTIONAL RULE は考察の範囲外としています。ご了承下さい。
感謝と謝辞。このブログ記事は小生程度の理解の範疇での分析であり、ゲーム熟練者・及び先達の方々には噴飯物のブログ記事ではあると思いますが、ウォーゲームの一つの楽しみ方として 笑ってお許し下さればと願っております。尚、考察記事を書くにあたり「MONTY’S GAMBLE」の日本販売・及び日本語訳ルールブックの提供元であるサンセットゲームズ様にグラフィックアート掲載の許諾を頂く等のご協力を賜っております。
UK.1st Airborne Division / Limits of struggle in The ARNHEM
ARNHEMの歴史やWWⅡにおける戦史はここでは割愛し、MONTY’S GAMBLEにおける市街の特殊性と重要性を併せて軽い考察から始めたいと思います。Rhine River を渡る為の最重要拠点としてマップ北端に位置する橋梁市街ARNHEMは連合軍・ドイツ軍の両軍にとって無視できない特徴を持つ特異点とも言えます。
連合軍にとり、アルンヘムはドイツ軍主力をライン川北岸に抑え込む為の要石的な市街地です。反面、補給路の確保が難しい隔絶した地点の戦略的目標、という攻略し難い厳しい条件を備えた市街地でもあります。
アルンヘムへの強襲は奇しくもドイツ軍主力をライン川北岸に閉じ込める、という副次的効果を齎したために、南下したい独逸SS装甲師団と抵抗勢力の南下阻止を望む英 第一空挺師団という対立の構図がこの市街地にて発生します。この点が非常に興味をそそり、プレイアビリティを高めてくれる訳です。この非常にゲーム的な側面を持つこの要素がマーケットガーデン作戦をウォーゲームのテーマとして、人気の高いものにしているのではないでしょうか。
この戦域も前例に習いRegion1と命名させて頂こうと思います。まずは、Region1におけるRhine River周辺エリアの特殊性とゲームへの影響を見て行きたいと思います。
Features of the area around ARNHEM
Feature 1 Terrain Effects Modifier < TEM>
ARNHEM、それはマーケットガーデン作戦に登場する地名で最も有名を馳せた市街地です。ゲームデザインはその点を反映しているのでしょう、他の市街地や河川の渡橋地点と違う特徴的なポイントが複数存在します。
その特異点でも第一に挙げられるのが、ARNHEM(Area13)も含め、周辺エリアのTEM(地形影響値)が異常に高い点でしょう。
第一空挺師団の該当戦域にはTEM「1」のエリアは存在しません。最低がポルダー(埋立地)のTEM「2」であり、特にライン川北岸はArea13のアルンヘム市街を中心に複数のエリアのTEM値(地形影響)が「3」または「4」と高く、防御に適したエリアを形成しています。但し、高値のTEMはドイツ軍にのみ許された浸透移動(Rule Book 8.22)にも適しています。何しろ晴天時はTEM「3」で約34%、TEM「4」で50%(曇天時はTEM「3」で50%、TEM「4」で66%強)の浸透移動の成功を期待できるのです。しかもRegion1にはゲームに登場する独逸軍ユニットの約半数が登場する戦域です。乱戦は必至といえる戦域とも言えるでしょう。
Feature 2 Victory Conditions < VP>
Region1は合計12VPものVictory pointを持つ特異な戦域です。
他の二つの戦域との比較してもVPエリアの多さが際立ちます。Region101はVPエリアは4箇所(合計4VP)、Region82は5箇所(合計6vp)であるのに対し、Region1は7箇所(合計12VP)と破格のVPエリアを有しています。
特にARNHEM(Area13)は4VPと最高値のVPを持つエリアであり、補給線が切れていても支配さえしていれば2VPを獲得できる、という特殊ルールを持つMONTY’S GAMBLE最強の市街地エリアです。
但し、Region1の戦域のVPは、基本ゲームの連合軍にとってはあまり重要では無いVPと言えます。何故ならばRegion1に点在するVPエリアの大部分は基本ゲームの時間軸、9/17~9/20の四日間で英 第30戦車軍団が到達するには遠すぎる位置に設定されているからです。
上記の理由から、UK.30th CorpsはRegion1の今考察には参考程度にしか登場しないことをご了承ください。
恐らく、Region1全域は延長ゲームの為にデザインされています。この領域での両軍主力の対峙を体験したいのならば延長ゲームを選択するべきでしょうね。しかし、その場合、ゲームは少々ドイツ軍が有利になるよう設定されているように感じます。
基本ゲームは両軍にとって「刻々と変遷する戦線とその戦線維持の為の兵站の配りあい」の知恵比べであり、この点が作戦戦略級とも呼称するに値するゲームである、と感じます。そしてこれそこがゲームデザイナーが求めたMONTY’S GAMBLEの真骨頂だろう、と小生は僭越ではありますが、そう推察しています。
但し、延長ゲームは作戦戦略という要素がターンを経るごとに薄まって行くようです。「9/17~9/20の4日間」に当たる、序盤の4ターンは、基本ゲームに近しい展開を迎えるでしょう。その後、ゲームはダイナミックな戦線の変化は薄れ、ライン川渡橋とマップ北端への戦線突破を都合6ターンの延長をかけてマーケットガーデン作戦の終焉を描いて見せてくれます。
延長ゲームの考察は行いませんが、参考までに勝利条件のVPとそのVP獲得の為に確保するVPエリアの目安を掲載しておきます。(Rule book21.3「例外項」/21.31/21.32のボーナスポイントは除く)
9/20(第4ターン):連合軍勝利=11VP以上(Area17(1VP)以下マップ南部全域VPエリア含む)
9/24(第8ターン):連合軍勝利=15VP以上(Area13(4VP)以下マップ南部全域VPエリア含む)
9/26(第10ターン):連合軍勝利=21VP以上(マップ全域の殆どのVPエリア(マップ上には通算22VPのエリアが存在します。)
*9/20(第4ターン)の勝利条件が基本ゲームと違う事にお気づきでしょうか。基本ゲームでは10VPの獲得をして連合軍の勝利で幕を引きますが、延長ゲームでは10VP獲得は延長ターンに突入の条件に過ぎません。部妙な設定変更ではありますが、連合軍勝利条件の引き上げはドイツ軍に若干の有利を齎す事を意味します。ゲームデザイナーの深意が知りたい点でもあります。
Order of Battle in Region1 / Requiem for the Red Devils
連合軍の視点から俯瞰するにドイツ軍の両SS装甲師団がライン川北岸に駐留していたという事実は、運の良い面・悪い面の両方の結果を齎す事となりました。幸運と言えるのは、何度もお伝えしておりますが、ドイツ軍の主力がライン川を渡れない事態に陥った為に戦力の集中が出来ずワール川渡河に不可欠なNijmegen Bridgeを占拠出来た事でしょう。そして、不運であったことは、ドイツ軍主力のライン川渡河を一時的にせよ不可能にしたが故に、ARNHEM市街に過集中したドイツ軍によりRed Devilsが壊滅を被ったした事でしょう。
MONTY’S GAMBLEにおいてもRed Devilsは、戦史と同様に苦境に立たされます。時間経過的に、基本ゲームで消化するターン数では地上軍がアルンヘムに到達するのは厳しいのです。勝利条件にはマップ北端からの連合軍突破( Rule Book 21.1 )も記載されていますが、基本ゲームにおいては、この勝利条件は「悪い冗談」以外の何物でもありません。両軍プレイヤーの実力が伯仲しているなら尚更にライン川到達は著しく難しく、不可能にすら感じるでしょう。
さて、ここからはRegion1におけるドイツ軍とRed Devilsの戦力比較から、Red Devilsの戦略目標のARNHEM橋梁の奪取について採り得る戦術を模索したいと思います。
数表概説: MONTY’S GAMBLE.考察1でもお見せしましたユニットの能力値別の師団・エリア単位の集計表です。移動力値を除き、上からユニット数、攻撃値、交戦状態の防禦値、疲弊状態の防禦値を表示しています。第一ターン(9/17)は初期配置ユニット数、以降の日付は増援ユニット数と増援ユニット数のみの各集計値となります。繰り返しますが各「総**」の欄は各ターン単位の数値です。「兵数」列は該当師団(連)・エリアの増援数(独)を各ターン毎の数値です。最後の欄に記載してある%はそのターンの増援と既に登場している部隊の数値を合算した数値から算出した比率です。
ではまず、9/17(第一ターン)の両軍戦力の比較をすることからはじめましょう。
アルンヘムを中心に据えたRegion1をご覧ください。
赤に黒い縁取りの枠線がRed Devilsの作戦領域です。黄色地に赤文字がRed Devilsを表しています。
同様に、黒地に白文字がドイツ軍。ユニットの数値は「攻撃力―防御力―移動力」を表し X3は同じ戦力の大隊が3部隊であることを示しています。ドイツ軍の「FT」は高射砲台。「Flak *-3-5」は高射砲部隊。Zone JとZone Bからはそれぞれのゾーンから登場する部隊を記しています。
因みにArBnはAir Borne。ArtまたはArtiは砲兵の表示です。
9/17(第一ターン)、Region1 両軍戦力
英 第1空挺師団 9ユニット(歩兵8+砲兵1)
総攻撃値33・総防禦値43
ドイツ軍「エリア内」 8ユニット(機甲1+歩兵2✙高射砲1 / 高射砲台4)
総攻撃値3・総防禦値10
ドイツ軍「Zone内」 9ユニット(機甲3+歩兵5+砲兵1)
総攻撃値19・総防禦値22
9/17(第一ターン)日にRed Devilsは9個大隊を降下させRegion1の制圧に取り掛かります。
この時点でRed Devilsの総戦力値は「33」。Region1のエリア内に存在するドイツ軍のユニット数は「8」、内訳は戦闘力を持たない4基の高射砲台と1個高射砲部隊。戦闘可能な戦力を有する部隊はたった3個大隊と貧弱そのものです。しかも総攻撃力値は「3」とRed Devilsとの攻撃力値比は1:11と圧倒的な戦力差です。
しかしながら、ドイツ軍戦力にZone J・A・Bに駐留している部隊を加えると攻撃力値は「22」となり、攻撃力値比を2:3にまで押し戻す形となります。併せてドイツ軍の防御力値を見ると「32」。攻め手の連合軍の攻撃力値は「33」ですから、攻防値はほぼ同等となり、さらにドイツ軍実働部隊数(ユニット数)は合計「12」大隊、とRed Devilsのユニット数「9」と逆転してしまいます。地形影響は前章でも述べましたが、攻めるに難く守るに易い地形です。「兵力が同等の場合は防御側有利」とは浅学の小生でも良く耳にする軍事的教訓ですが、このように兵力数と値を確認するだけで、Red Devilsが苦境に陥るだろう、との想定は容易に想像が付きます。
Allied Side / Storm Over Arnhem
空挺降下の段階でドイツ軍による抵抗は既に始まっています。FT(高射砲台)またはFLAK(高射砲部隊)による航空妨害です( Rule Book 18.44 航空妨害)。詳細は省きますが高射砲ユニットの数を基準に1D6による降下時における損害値判定を行います。9/17(第一ターン)における航空妨害は、Red Devils 各ユニット それぞれが1/6の確率で「疲弊状態」(移動・攻撃 共に不能)になる可能性を有します。ドイツ軍サイドの航空妨害における累積期待値は150%。これはRed Devils 9個大隊の内 1個から2個大隊が疲弊状態なってもおかしくない数値です。で、あるならば連合軍プレイヤーは損害値を織り込んだ降下作戦を事前に策定すべきでしょう。
補足 : ドイツ軍の航空妨害累積期待値は150%と紹介していますが、これは最大期待値でもあります。何故なら作戦初動に連合軍の航空爆撃がマップ全図の高射砲台全てに敢行されるためです。
連合軍はドイツ軍航空妨害成功の期待値を可能な限り落としておきたい。片やドイツ軍は連合軍の航空爆撃成功を可能な限り回避し、空挺部隊に少しでも損害を与える可能性を残しておきたい……すでに降下兵を軸に両軍攻防のせめぎ合いが始まっています。
Region1の航空爆撃の目標地点・Area1とArea3も例外ではありません。共にDVは7を有し空爆による被弾確率(疲弊状態)も共に33%強。そして両エリアともに高射砲台を疲弊状態にさせるには1/9(概算11.2%)の運が必要です。
Area1・3共に、高射砲台が疲弊状態に陥った場合、ドイツ軍の航空妨害期待値は0%強。(連合軍爆撃成功期待値11.2%)
Area1の高射砲台が疲弊状態に陥った場合、ドイツ軍の航空妨害期待値は66%強。(連合軍爆撃成功期待値21.8%)
Area3の高射砲台が疲弊状態に陥った場合、ドイツ軍の航空妨害期待値は83%強。(連合軍爆撃成功期待値21.8%)
Area1・3共に高射砲台が戦闘状態を維持、ドイツ軍の航空妨害期待値は150%強。(連合軍爆撃失敗確率44.9%)
上記の確率を元に、航空妨害によるRed Devilsの許容可能な想定損害値は2/9と小生は見ています。つまり2個大隊までの「活動不能」を想定し作戦行動を立案する。そして損害がその数値を上回る状況が発生した場合、残念ながら立案した作戦の枝葉を優先度の低い順位から刈り取り対処して行くようにしています。もっとも、この対応は皆様も同じかと思います。
Red Devils 9/17(第一ターン)進撃図
「2D6」攻撃側勝率表
上図に記した矢印(Arrow A~D)は、Red Devilsの進撃路を想定しています。基本的な初動展開を想定していますが、小生の想像力の範疇を越えない展開であることをご了承ください。
第1ターン「夜明けフェイズ」はD-Dayとと称される特殊フェイズに変更されます。(RuleBook20.0 D-Day)
このD-Dayフェイズは空爆・砲撃・空挺兵降下・地上軍進撃の4種のシークエンスを順に処理して行くのですが、空挺兵降下シークエンスは直後に降下地点での突撃・隣接エリアへの移動・橋の奪取のアクションが任意で行えるボーナスシークエンスが与えられています。ボーナスシークエンスを含め、初動の数インパルスの突撃と移動を矢印によって表示している、と理解して頂ければと思います。(点線で表示された矢印はArea5の降下兵、実線の表示はArea6の降下兵、の進撃想定)
Arrow A このラインはArea8の奪取を主要目的としています。ライン川北岸唯一の補給デポ降下予定地点がArea8なので連合軍プレイヤーは是が非でも支配したいエリアです。余力が生じればArea12にまで展開しARNHEM北部の防禦を厚くするのが狙いです。
課題となるのは、Area8に駐留しているドイツ軍親衛隊1-1-3歩兵大隊の攻略です。防禦値は「1」と低く攻略も容易く見えますが、問題はTEMが「3」と高いエリアである事。DV値は合計で「4」。Red Devils一個大隊の投入で勝率は44.32%……芳しくありませんね。
それならば出し惜しみせずに3個大隊を注込みましょう。師団効果も発生しますので、勝率も上がり76.06%。この数値は皆さんにはどのように映るでしょうか。一個連隊規模の部隊を投入しこの勝率は微妙な勝率に小生には映ります。理由は後述しますが76.06%との勝率とは防禦部隊に打撃を与え得る可能性全般を考慮した割合です。敵の除去を求めるならば確率は44.32%まで下がるのです。
MONTY’S GAMBLEのシステムとして特筆できる点として「防御側の耐久性が異様に高く設定されている」と感じる事にあるでしょう。疲弊→混乱①→混乱②→除去、との4段階を経ないとユニットは消えてくれません。まるでステップロスシステムにおける4ステップを持つドイツ機甲師団を思い出させる抗堪性です。この点が敵除去率を圧倒的に下げるマジックの理由です。
Arrow B このラインの目的はArea5の大隊をARNHEM(Area13)に投入する為のラインです。Area5にはRed Devils最強の防禦力値「6」を持つ 4-6-4 大隊が三個降下します。激しい攻防戦が想定されるARNHEMに少しでも防御力の高いユニットを送り込みたい、との意向をプレイヤーが持つのは当然だと考えます。このユニットの配備の可能性は存在するか……考察で問われるべき課題ではないでしょうか。
4-6-4大隊のアルンヘム投入には、Area6の降下兵の協力が必要です。ボーナスシークエンスの移動を利用してArea7へ侵攻。これは次インパルスにArea7を連合軍フリーエリアとする為の下準備です。フリーエリアはMF値(移動力)を低く抑えることができるので、4-6-4大隊はARNHEMへの突入が可能になります。
但し、この移動は諸刃の剣とも言える欠点を抱えています。ボーナスシークエンスの移動を利用することにより、0インパルス先行のドイツ軍にArea7 /Area19に架かる鉄道橋の破壊を試みる機会を与えてしまいます(RuleBook19.4)。橋梁破壊確率は1/3(約34%)、ドイツ軍プレイヤーの決断と結果はともすると勝敗に直結するかも知れません。なにしろ橋の修理にはZoneFからの補給線が該当するエリアまで届いていることが条件なのです。基本ゲームではArea7の橋梁は一度破壊されれば復旧は不可能と言える条件です。
史実では爆破され利用されなかった橋梁ですが、この橋が利用可能のままRed Devilsが抑えると補給デポの回収率が高くなり、やや若干ではありますが、ARNHEM南岸(Area17)の奪取の可能性が見えてくるのです。小生がMONTY’S GAMBLEをプレイする場合、ドイツ軍にこの橋梁破壊の権利を渡さないようプレイすることが多くあります。補給デポ降下地点としてArea8がドイツ軍のプレッシャーが圧倒的に強く維持しにくい事が、補給デポ確保のセカンドポイントを確保したい理由です。
さて、あなたが連合軍プレイヤーならば、ドイツ軍のこの橋梁にたいする破壊確率は許容出来るでしょうか?
Arrow C もっとも現実的にARNHEMに部隊を送り込むラインでしょう。降下時のボーナスシークエンスを利用せずに0インパルスの初動でアルンヘムに部隊を投入可能なラインでもあります。
恐らく最もスタンダードな展開を生じさせる作戦行動ではないかと思います。Area5に降下した部隊に負担をかけることも無く、ARNHEM(Area13)に一個大隊。補給線確保にArea7、ライン川南岸の導線としてArea7の橋梁を抑えつつ第二の補給デポ降下地点のArea19、と両エリアに各一個大隊を展開する。恐らくArea6の部隊展開を補完するようにArea5の部隊はArea8へ三個大隊を侵攻させ補給デポ降下地点の確保を狙う。
ここまででが、Red Devilsの活動限界ではないか、と小生は愚考します。理由としては当たり前の話ですが、空輸される補給デポは数量に厳しい制限が課せられます。供給される物資は、跨ぐエリア数や交戦状態等の環境を直接的に影響を受けるため、補給を受けられない部隊が数ユニット、若しくは半数近くが我慢を強いられる場合がままある事を覚悟すべきでしょう。疲弊状態のまま次ターンを迎えるユニットが複数存在することが常態なのです。
特に激戦区と想定されるRegion1ではなおさらなのです。
Arrow D Area7に架かる橋(Area19)を抑えるアクションであるこのラインは、第二の補給デポ降下エリア獲得の為に重要度の高い展開と言えるのではないでしょうか。
Arrow Cの考察で説明は十分かとおもわれますので、Arrow Dの考察は割愛致します。
紙数が尽きました。
今回はここまでと致します。
脱稿までに殊の外時間がかってしまいました。
今考察シリーズをお待ち頂いている読者様がおられましたら、誠に申し訳ございません。
本来であれば、英 第一空挺師団の序盤展開に続き、ドイツ軍の対応を今考察にて述べる予定でしたがもう少々 推敲に時間をかけたいと考え、勝手ながらこの辺りで今考察を纏めさせて頂くことに致しました。
今考察を MONTY’S GAMBLE.考察3【Red Devils】prequel とし 前編と致します。
次考察を後編として MONTY’S GAMBLE.考察3【Red Devils】sequel のみの投稿とするか、最終回稿と併せての公開とするか、考察の分量により纏め分けを考えたいと思って居ります。
誠に勝手ながら、皆様にご報告とご挨拶を……
今考察を最後までお読み下さり、誠に有難う御座います。