・はじめに・
これは『フタリソウサ』のプレイログを整理したもの、の#5です。#1はこちら。
GM/PL両者私一人なので、多少のぎこちなさはご容赦ください。また、公式ルールブック掲載シナリオ『山の死体』のネタバレを含みます。PLとして楽しみたい方は閲覧非推奨です。
なお、同性同士のキャラクターがかなり近い距離で接触する描写が多々あります。苦手な方はお気をつけください。
・画像について・
キャラクターアイコンについては、ぴくるーのメーカーで製作したものを使用しています。
マップ画像は、フリーで配布されているものを使用しました。
あわせて記事の最後に、クレジットを記載しております。
・プレイヤーキャラクター・
探偵:天野廿三
年齢:25歳
性別:男
探偵クラス:マニア
背景:暴走する知識欲
ファッション特徴:手入れしていない髪
好きなもの:本
嫌いなもの:人間
職業:在宅プログラマー
感情:
気に入っているところ・なし
気に入らないところ・『信頼したい』『気にかけてくれるところ』『責任取らせてやる』『頼らなきゃいけないところ』
「助けてくれるところ」「嫌わなきゃいけないところ」
技能:
洞察>《嘘》《外見》
鑑識>《情報》《科学》
人間>《ビジネス》
肉体>《追跡》
助手:牟田立夏
年齢:25歳
性別:男
助手クラス:情熱の人
背景:放っておけない
ファッション特徴:ノンフレーム眼鏡
好きなもの:天野廿三
嫌いなもの:天野廿三
職業:無職
感情:
気に入っているところ・『やっぱりいじめたい』『弱いところ』「芝居上手」
気に入らないところ・『もどかしいところ』『一人で何でもできるところ』「笑うところ」
技能:
洞察>《現場》
鑑識>
人間>《社交》《説得》《流行》
肉体>《根性》
・前回までのあらすじ・
「この事件の全貌が見えてきた」
▶捜査フェイズ サイクル2 シーンプレイヤー探偵
天野 : 1d6 (1D6) > 5 すっとぼけ表
(4) > 通行人のふりをして、関係者の話を盗み聞き
天野 : ふーむ……。
牟田 : どうする?
天野 : シチュエーション捜査ではなく、NPCの証言を聞くシーンをやりたいな。『西口涼子』に会いに行こう。
▷シーン開始
「今向かっているのは、第二の被害者・東山武の自宅です」
天野は意外とちゃっかりしている。
急に出かけるというから付いてきたが、どこに行くか聞くと前述の答えが返ってきた。
警察の捜査資料をダウンロードして、必要な情報をピックアップしていたらしい。
「…したたかぁ」
「えっ…まぁ……ごめんね?――あっ、でも電車やバスは一人で乗れないから、牟田くんが付いてきてくれて嬉しい、よ」
「あぁ。おいて行かれても、どこかで立ち往生してやしないか、なんて考えて落ち着かないしな」
「あれ…?あ、ありが、とう……?」
ぎこちないながらも、僕を頼ろうとしてくれているのが分かって、まんざらでも無い気がしてくる。
「だから、彼は自殺なんかするような人じゃ無い、って言ってるでしょ!!」
その角を曲がればもう東山武が住んでいたマンションが見えてくる、という段になって劈くような、女性の怒声が聞こえてきた。
「誰だ……?」
角のあたりで立ち止まり、少し遠くから騒ぎを観察する。
どうやら、事件関係者と警察の人間が言い合いをしているらしい。
「……多分、西口涼子。東山武の恋人、だったかな…?――あの刑事は林河山の時にも会ったな。かち合うと話がややこしくなるから、ここで少し待って、二人の話を聞こう。今の彼女の言いようも、どういうことか気になる」
そう言って、天野も姿勢を低くした。
「しかしですな、遺書が見つかっている以上、それが事実です。親し人を亡くされて、さぞおつらいでしょうが、受け入れるしか……」
「そんな遺書、偽物に決まってるでしょ!もっとちゃんと調べなさいよ、使えないわね!!――武に地図を渡されたの!山の中腹あたりに印が付いた地図よ!きっと何か重要な手がかりに――!!」
「東山武さんは登山サークルに所属していたんでしょう?なら、次に上る山でも選定していたんじゃないですかネ」
西口涼子はかなり感情的な女性らしく、ヒステリーじみた物言いで刑事に食ってかかっていた。あれではどんなに大事な証言でも、まともに聞く気になれない。
その証左のように、刑事のほうは彼女が言いつのればつのるほど、白けた態度を取るようになる。
刑事がまともに取り合ってくれないと分かると、彼女は「もう良い!自分で調べに行くわよ!」と言って話を切り上げてしまった。
「…あっ、こっちに来る……」
「慌てないで…、今来た振りして」
天野と僕は数歩下がってから、あたかも今来たかのように角を曲がり、西口涼子と鉢合わせる。
天野は白々しくも、すれ違いざま、わざと彼女の鞄に腕を引っかけてぶつかり、荷物の中身を道にぶちまけた。
西口涼子は、ちょっとなんなのよ、と食ってかかろうとしたが、天野のほうが早かった。
「あっ、す、すみません…ごめんなさい……申し訳ないですぅ………」
「な、なんなのぉ…?」
天野は、西口涼子より素早く地面に這いつくばり、繰り返し謝り頭を下げながら彼女の荷物を拾い集める。
これをやられると、正常な善意を持った人間は何も言えなくなる。
「あぁ、ツレがすみません。ほんと…怪我ないですか?壊れた物があったら弁償しますよ」
「ぇえ…怪我は無いけどぉ……なんなの…ちょ、手帳は見ないでよね!」
「……あの、僕たち、たまたま聞いてしまったんですが、あなたは東山武さんと親しかったんですか?」
「デカい声で悪かったわね」
西口は言って、天野の手から自分の荷物をひったくった。
「まぁまぁの近所迷惑でしたね。――実は僕たち、『凛々』に所属してる神谷樹里さんから、事件の調査を頼まれていまして。よかったらお話を聞けないかと」
「……どうせアンタたちも、警察と同じ。武が柊を殺したと思ってるんでしょ」
「いや。…むしろどちらかと言えば、その疑いを晴す方向で調べています。……東山武さん犯人説は、いくつか不自然な点があるので」
西口涼子の言葉に、珍しく天野が口を挟んだ。
「わ、分かってるじゃない……!」
西口涼子の口は軽かった。
近くのファミレスで腰を落ち着けると、恋人の東山武の人となりや、彼が残した謎の地図について。丁寧かつ事細かに教えてくれた。
「で、これがその地図よ」
彼女が取り出したのは蛇腹タイプの地図で、1つの山をメインにその周辺都市の地図が収録されている。
たしかに登山道の中腹あたりに、赤の丸印がついていた。
「なるほど……。あなた自身は、この山に行ったことは」
「無いわ。でも武が、サークル仲間の誰それが登ったことある、って話をよくしていたかしら。──それから、これは武が話してたことなんだけど……」
西口さんはそこで少し言いよどんでから、
「柊が変だって。三年前に亡くなった、なんとかって人の亡霊を見た、って言われたみたい。『これはヤバいと思って病院を勧めておいた』って」
「三年前の亡霊……」
そういえば、神谷樹里が山で仲間を亡くした、と言っていたのも三年前か。何か関連があるのか、と考えていると僕の横で、天野が息をのむ音が聞こえた。
「まさか、そういうことなのか……?」
「それはどういう意味?」
西口涼子が険のある目で天野をにらんだが、あいつはそんなことは意に介さず慌てて椅子から立ち上がると、彼女の手から地図を取り上げた。
「…牟田くん、ここに彼女と行ってきてくれる?この、印がつけてある場所」
「今からか?」
マジか、と腕時計を見る。時刻は二時過ぎ。
地図の山まで行くのに、電車で二時間はかかる。付く頃には日暮れだ。
「心配しなくても、日の入りはまだ遅いよ。それに、西口さんは山歩きに慣れてる。――あと、ボクの考えが正しければ、シャベルが必要になるな……駅前のホームセンターで二つ買っていって」
思考を先読みするような言葉に、西口と顔を見合わせていると、天野は「それから」と言い加えた。
「それから、もしここで何を見つけても、ボクが良いと言うまで、絶対に、警察を呼ばないで」
「お前は来ないのか」
「行かない。ボクは少し調べたいことがある」
そう言うが早いか、あいつは僕に地図を押しつけて、ファミレスを出て行った。
「な、なんなのアレ?……もぉ…ちょっと恐いんだけど。アンタのツレ、多重人格かなんかなの?それとも、占い師?」
「いや…あぁ……んんー………」
自動ドアの向こう側に消えていく背中を見送って、僕も曖昧な答えしか返せなかった。
▶シーン終了
GM/フェイズ管理 : 助手→探偵への感情を獲得
牟田 : 話が佳境に入ってきたところで、探偵が本格的に暴走してきた。
天野 : 暴走するならここだと思って。
牟田 : 獲得する感情はズバリ、【被害者面】だ。気に入った、の方に置いておくかな。
天野 : やぁ、なんのことだか。
牟田 : それで、この後は?
天野 : そうだねぇ…それぞれ単独で行うシチュエーション捜査を一回ずつ挟んでからフタリソウサシーン、っていう流れがちょうど良いんじゃないかな。
GM/フェイズ管理 : 探偵・助手、行動済みにつき、サイクル2終了。
困難レベル分だけ【余裕】が減少。その後、困難レベルとサイクル数を1上昇。
余裕 : 12 → 10
困難レベル : 2 → 3
▶サイクル3 開始 シーンプレイヤー助手
天野 : シーンには助手しか登場しないけど、異常な癖はどうする?
牟田 : とりあえず振ってみて、セッション中のどこかで捻じ込んでみればいいんじゃないか?
天野 : 1d6 (1D6) > 6ランダム
新・異常な癖決定表(4) > 「異常な癖・思わせぶり表」を使用する。
(3) > したり顔で頷くが詳細は不明
天野 : なるほど。
牟田 : 使えそうなのは『地道に証拠品を捜す』かな…?
GM/フェイズ管理 : このシチュエーションでは、判定を二回行います。
1度目で手がかりを、二度目でキーワード本文を獲得。ここで一回目の判定をどうぞ。
<行為判定>
判定技能:(助手PCが洞察カテゴリから決定)
牟田 : 技能は洞察から選択か。じゃあ唯一もってる《現場》で。
有利 3AS(6,3,2) > スペシャル(余裕2点と、探偵から助手への感情を獲得)
余裕 : 10 → 12
▷シーン開始
西口涼子は山歩き用に装備を調え、僕はシャベルを仕入れてから駅で合流した。
そこから、電車で二時間。麓の街から、登山道に入ってまっすぐ地図の場所へ。
天野の言っていたことは本当だった。一見登山とは無縁そうな西口が、さくさくと山道を歩いて行く。
「西口さんも、『凛々』の人だったんですか…?」
「まぁね。武が登ってたし、私も楽しみたかったから」
やがて僕たちは印の付いた場所にたどり着く。
「印があったのはこの辺か。嫌な予感がする……」
地図を取り出して、周囲を確認する。印がしてあるのは、登山道から外れた藪の中だ。分け入りながら、その予感が外れて欲しい、と願わずには居られなかった。
「まさか…まさか、よね……」
西口さんも、折りたたみシャベルを開きながら呟く。
何が、とは聞かないまま、僕たちは地面にシャベルを突き立てた。
GM/フェイズ管理 : では二度目の判定を。
<行為判定>
判定技能:(GMが鑑識カテゴリから決定)
技能は《法医学》を指定します。
牟田 : うわ、持ってないし…。
AS(1,4) > 成功(余裕1点と、探偵から助手への感情を獲得)
余裕 : 12 → 13
あぶっ。
▷シーン再開
二人で二十分ほど掘っただろうか。土に差し込んだシャベルの先が、がつん、と何かに当たった。
最初は、岩か木の根だと思った。シャベルで土塊をよけると、劣化したビニールシートの残骸が見えて、これは違うと悟った。くすんだ色のビニールシートと、それに包まれた白い……――。
それが何か理解した瞬間、思わず「うわっ…」と声を上げて後ずさりしてしまった。
地面を掘り返すうち、日はとっぷりと暮れて、念のために持参した懐中電灯が、僕たちの手元を照らしていた。
「……見つけた、これだ。これが、柊裕翔と東山武が知ってしまった秘密だ」
「こ、これって、もしかして三年前の……。――警察呼ぶ、警察!」
「ちょ、ちょっとまって!天野に絶対警察を呼ぶなって言われましたよね!?」
僕はスマホを取り出そうとする西口の背中にしがみついた。
「そんなこと言ったって、このまま野ざらしで放ってもおけないでしょ…!」
「ここ三年、土の中に放置されてるんだから、今更一時間も二日も変わりませんよ!」
僕らは、警察を呼ぶ呼ばない、としばらく言い合った後、とにかく天野に指示を仰ぐことにした。
あいつのスマホに電話を掛けると、すぐに「もしもし?」と返答があった。
『もしもし、今どこ?シャベルは役に立った?死体はどうした?まだ警察には連絡してない?』
矢継ぎ早の質問に一瞬たじろいだが、今朝から続く若干不当な扱いに、ふつふつと苛立ちが沸いてくる。
「……『今どこ?』じゃねぇよ!お前が行けっつった山だろうが!白骨死体を掘り起こしても警察呼ぶなとか、世間一般的に無理があるわ!!そういうお前はどこで何やってんだよ!?」
『……おっ、おこらないで…』
思わず声を荒げてしまった。電話口で首をすくめる天野が目に浮かぶようだ。
本当はもっと言いたいことがあったが、深呼吸をして気持ちを切り替える。
「……この遺体は、三年前に行方不明になった桐山省吾なんだろ。柊と東山は、加山の犯行に気づいてしまい、やつに殺されたんじゃ――…」
言葉の途中、受話器から鼻で笑うような音が聞こえて、口を閉じる。
「なんだよ」
僕が訊ねると、「大きくは外れていないかもね」としたり顔で頷くような返答。
『…推理としては七十点、てところかな。――ボクは今、少し確認したいことがあって、神谷さんと会ってる。位置情報を送るから、ここで合流しよう』
「は?おい、待て!」
説明不足のまま、電話はぷつりと切れた。
「くっっっっっそ腹立つっ…!!」
「アンタも苦労してるのね……」
▶シーン終了 獲得キーワード ⑧白骨死体
GM/フェイズ管理 : 助手→探偵への感情を獲得
二回の判定に成功しているので、探偵⇒助手への感情を二つ獲得
牟田 : 【説明不足】”気に入らない”に決まってる。
天野 : それじゃあボクは…。
【イライラしてる】を”気に入らない”
【ボクが居なくても】を“気に入った”に、それぞれ置いておくよ。
牟田 : 嫌な割り振り方だなぁ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・go to next⇒
・エンドクレジット・
マップ……おばけの神秘堂
キャラクターアイコン……海ひつじ屋めーかー
NPCアイコン……ユーザーアイコンさんメーカー
・おわりに・
本作は、「平野累次」「冒険支援株式会社」及び「株式会社新紀元社」が権利を有する『バディサスペンスTRPG フタリソウサ』の二次創作物です。
(C)平野累次/冒険企画局