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Landkartenreiter / “Squad Leader” Impressions

 ドイツ軍には「Etappe(後方兵站部隊)」で楽をしている者を Etappenschwein(エタッペンシュヴァイン/後方の豚)と呼ぶ有名な蔑称があるそうです。タイトルに掲げました「Landkartenreiter 」はより具体的に「現場を知らずに地図上だけで命令を下す者」というニュアンスが強く、東部戦線の兵達による後方の将官たちへのより強い侮蔑を表す隠語だったとのこと………何となくウォーゲーマーもそのようなニュアンスで語られたりしているのかな、などと思いきや、Ballerspiele(シューティングや殺し合いを題材にしたゲームを好む層)やErbsenzähler(細かい数値やルールの詳細を気にするウォーゲーマー)というような俗称が別にあるようです。外部から見たウォーゲーマーを冷やかすような文脈で使用すると軽い蔑称になるのだとか。………やはり私たちの趣味は理解されづらく、一癖も二癖も在るように見られているのですね。

Scenario#1 The GUARD COUNTERATTACK

 ADVANCED SQUAD LEADERが戦術級ゲームのモンスターとして君臨している昨今、「ADVANCED」ではないSQUAD LEADER(以降「SL」と表記)の考察などもはや無意味では?と嗤われるかもしれません。現代のウォーゲーマー諸氏から見切られているかもしれないこのゲームではありますが、私はこのゲームが大好きで、ふと 思い立つとマップを広げてソロプレイに勤しんで居たりします。

 その中でも簡単にプレイし易いシナリオ#1「親衛赤軍の反抗」(邦訳)は私のお気に入りの一本です。SL入門用のシナリオであり、かつ戦術級ゲームに不可欠な歩兵支援用火器「機関銃」に焦点を当てているシンプルな戦術級ゲームです。分隊規模での交戦に「機関銃」の活用が何故必要か? 機関銃の射線を無視することが如何に愚かな行為か?をつぶさに教えてくれ、戦術級ならではの視点をプレイヤーに提供してくれる素晴らしいシナリオだと私は考えています。

 序盤のドイツ軍・ソ連軍の戦術は変化が少ないため、ほぼ定位置にユニットを配置するのが定石と化しつつある部分も多々あると思います。先ほども述べたように先達の研究記録など日本では探しようも無い、というのが私の本音です。深く探求なされた方々には無意味な内容かもしれませんが、この程度の考察でも記録として残しておくのも悪くはないのではないか、そのような思いも加味しつつ、考察を行いたいと思います。たまに私のノスタルジックな回想を交え(皆様には邪魔な行りかもしれません。先にお詫びいたします)、お話出来ればと考えています。

Victory conditions

 #1の勝利条件は「石造建築物(拠点)をドイツ軍より2つ以上奪取すること」。ドイツ軍(以下、「独軍」と表記)は石造拠点は5か所(F5・I7・K4・L6・M9)。ソ連軍の石造拠点は4か所(G3・J2・H2・N4)。お互いが持つ石造拠点の位置は問わず、ソ連軍が6箇所以上を第5ターン終了時に保持していればソ連軍の勝利となります。独軍はその勝利条件達成を防ぐことで勝利を獲得します。

 強力な親衛赤軍の攻勢から#1は始まります。数に勝る精鋭ソ連兵は圧倒的な火力を武器に独軍拠点ビルへ圧力を強めてゆきます。数的不利な状況下において応戦を迫られる独軍唯一の頼みは、各小隊に配備されたMG-42軽機関銃による圧倒的な制圧射撃力のみ………さて、独軍プレイヤーのあなたは、この劣勢を凌ぎきる事が出来るのでしょうか。

Which placement will you choose? / German Tactical Doctrine

  では、考察を始めるましょう。下図”Set Up A“は私が考える基本的な#1のユニット配置です。青くマーキングしている独軍拠点へクス「H5」「J4」が#1において親衛赤軍突入を阻止し得る重要な迎撃拠点です。両拠点共に二個分隊&MG-42軽機関銃一丁を配置、街路横断を強行する親衛赤軍を縦射する目的でキルゾーンを構築しています。二個分隊の投入は継戦力を維持する確率を少しでも高める為の処置で投射火力は最低でも「6」を想定した配置です。

 対してSet Up BはG6/H5/J4と拠点を3か所に構築。キルゾーン構成点を増やすことにより敵火力の分散が狙いです。J4は二個分隊&MG-42軽機関銃二丁(合計火力「12」)を配置、G6とH5は共に一個分隊とMG-42軽機関銃一丁(合計火力は共に「6」)を配置しています。そしてG6には指揮官「9-1」をスタック。負傷からの速やかな回復と継戦能力の維持・復旧の可能性を高める配置にしています。

Cross-fire / German kill zone

 改めて図「German Kill Zone」を再掲しましたので、ご参照下さい。

 ます私の選択として、J4に兵力を集中「二個分隊&MG-42x2」合計火力「12」。この単一へクスへの戦力集中は拠点を増やすという前提に反しています。理由は「J5」が拠点としては機能が不十分であることを挙げておきます。「J5」は上述しましたように私の使用するマップでは拠点効果が薄い為に分散した火力が無駄になる可能性が高い点を嫌いました。その点を考慮してJ4に火力を集中する配置が有効と判断しています。しかも「J4」は、キルゾーン(E5/F4/G5)を全て射線に収める唯一の拠点です。さらに言うなら、親衛赤軍の高火力の射程外に存在しもっとも安全とも表現可能な拠点なのです。

 それでもなお、親衛赤軍は「J4」に最大「18」の火力を持って射撃可能(G3+G4のグループ射撃)ですが、この射撃により他の拠点、「G6」・「H5」の2拠点に対する射撃火力は著しく低下します。これ以上のソ連軍側からのアプローチは後の章に譲るとして、独軍の火力の優位性に話を戻しましょう。

 拠点「J4」の破壊力は、図「enfilade fire B」の数表「C」を参照下さればお分かりの通り死傷確率期待値40.66%(E Value[3]に該当)と当然のように高い数値です。ITFは火力「12」、地形影響は開豁地(-2)を享受できるのですから、除去を含む被・士気チェック該当率97.30%。確かに5回の突撃のうち2回以上が全滅してもおかしくない数値です。この拠点「J4」をソ連軍プレイヤーは無視できません。必ず無力化する為の手を打つでしょう。

 視点が少々ずれてしまいますが、私が今回の確率計算で最も驚いたのはG6とH5の各種射撃確率の数値の差です。それぞれ一個分隊&MG-42x1を配置し火力は「6」と同等です。しかし「G6」には指揮官「9-1」を配置し指揮を任せている点で数値が明瞭に違いを描き出しています。詳細は数表図「enfilade fire B」をご覧頂くとしてここでは端的に数値だけ記載しましょう。「H5」の被・士気チェック率は83.40%(含むKIA率27.80%)、この数値だけでもかなり高値なのですが、「G6」は被・士気チェック率は91.74%(含むKIA率41.70%)と優に8%以上の底上げをもたらしています。KIA率に関しては12%強もの上昇です。やはりタイトルに偽りなく指揮官の指揮能力値は「-1」ですが効果は絶大です。さすが「SQUADLEADER」、タイトルに偽りない影響度です。特に、今回のケースのように開豁地にキルゾーンを展開する戦況(開豁地ー2+指揮値ー1=ー3)は影響が大き過ぎます。

 興味が強く沸いてしまった為に拠点「J4」(火力「12」)に指揮官「9-1」が存在したら?というIfの数値を計算してしまいました。enfilade fire Bの数表Dがその数表です。被・士気チェック率は100%は脅威の影響率ですが、この数値に含まれるKIA率は41.70%と拠点「G6」(火力「6」)と同確立なのが意外でした。

 前章までは独軍の拠点戦術(効果的なキルゾーンの構築)についての考察を述べてきましたが、今章ではソ連軍における対拠点戦術(キルゾーンの無力化)をテーマに考察を致します。

 まずは、2点の図表をご覧ください。図「拠点制圧射撃確率A」は前図「Set Up A」にて紹介したH5/J4の2拠点で構成されたキルゾーンの無力化を行う為の射撃部隊と射撃方向を矢印で示しています。下図の数表は「拠点制圧射撃確率A詳細」、各射撃地点の各拠点に対する各打撃確率を載せています。

 数表はほとんどの内容は前章に掲載した図表「enfilade fire 」と同じ作りになっています。大きく違う点は、地形影響による数値変化です。enfilade fire は大通り(開豁地ー2)に構築したキルゾーンを扱っている為に射撃側にかなり有利な射撃確率を有してます。対して今回は拠点(石造ビル+3)に籠る独軍への射撃を扱う為に前回との値差は5ポイントもずれを生じています。そのポイント分、ソ連兵の射撃は大きく成功確率を落としています。図表内数値に「neutralize Rate EV(全拠点の無力化成功確率期待値)」という背景色を濃くしている数値が有ります。これは第一ターン内に独軍の2拠点を完全無力化に成功する確率を求めた数値です………10.27%。この数値を皆様はどのように感じるでしょうか。私にはややソ連軍有利な数値であろう、と感じています。

 前段で「第一ターンで2拠点を無力化する確率は10.27%」である点をソ連軍有利と私見を述べました。この判断を奇妙に感じる方もおられるでしょう。一見この数値は非常に独軍有利に見える事も事実です。何しろ約10回に1回程度しか独軍のキルゾーンを壊滅させる事が出来ないのですからソ連軍不利との判断も妥当に思えます。

 しかし老練なSLプレイヤーならば、この確率値が如何にいかがわしく、プレイ実態に即していないか、もご承知のことと思います。この確率は第一ターンのみ(単独ターン)、しかも「一度に」という時間と希望を限定した数値であることも独・ソ両軍プレイヤーは戦略的に織り込んでおられるでしょう。ゲームは5ターン続きますし、射撃は単発で終わるわけではありません。拠点制圧射撃確率Aを今度は「期待値(EV)」という観点から改めて眺めて頂きたいと思います。射撃地点C/Dから拠点「H5」への射撃の期待値は47.69%、重ねて言いますが、これは単一ターンの数値です。この期待値の時間軸を2ターンまで伸ばしてみましょう。数値の変化は歴然です。2ターン以内に拠点「H5」が無力化される確率期待値は95.38%と倍化します。勿論この時間軸の変化は拠点「J4」にも同様に影響を与えます。「J4」無力化の確率期待値は2ターン時点で43.06%まで上昇。

 さて、ここからは独軍プレイヤーは自軍の痛みを想像する世界です。2ターン内に「H5」が陥落し、「J4」が持ち堪えた、と想定すると3ターンに「J4」が陥落する確率が一気に上昇します。なぜならCの小隊が「J4」攻撃に参加するからです。数表で表していませんが、Cの「J4」に対する確率期待値は21.47%(E value[2])と算出しました。さて3ターンには射撃地点A/Bの「J4」への無力化確率期待値は64.59%まで積みあがり、加えてCの確率期待値も積み上がり合計値81.06%と確率期待値は上昇します。この確率変化が順当にマップ上に反映されるならば、ソ連軍3ターンの準備射撃フェイズ時点でキルゾーンの無力化が達成されていても全く不思議では無く、親衛隊は射撃を行っていない移動可能な2個小隊が移動フェイズには悠々と大通りを渡ることが可能な展開が充分予測可能なのです。また拠点「H5」ビルには独軍一個分隊が抵抗を試みる可能性がありますが、親衛隊の剛腕がその抵抗を許すとは思えません。拠点「H5」ビルは占拠され、ソ連軍は勝利条件達成に大きく一歩踏み込んでゲームの後半を迎える事が可能になります。

Neutralization of three bases / In the case of the Red Guard

 ソ連軍の火力を分散させる。若しくは、想定以上の部隊に射撃を促し、足止めを強要する。この点を対応の足掛かりにすることにしました。

 現実の対応策は、G6に拠点を増設。そしてJ4の火力を増加。この2点の変更によりソ連軍のキルゾーン無力化のコストを多少なりとも上昇させることが出来たのではないか、と考えます。

 射撃値に関する数表類は、数表図・「拠点制圧射撃確率B詳細」をご参照下さい。

 Set Up Aと同じく「neutralize Rate EV(全拠点の無力化成功確率期待値)」を算出しています(表内の右上)。数値は、2.24%。振り返りになりますが、前章の2拠点のneutralize Rate EVは「10.27%」。2拠点の無力化よりも3拠点の無力化は当然ながら数値が下がります。この点のみの推察では3拠点スタイルのキルゾーン構築は抗湛性も向上しているように伺えます。

 やはり今回も複数ターンを跨ぐ期待値の積み上げ確率値を念頭に、脳内シミュレーションによるゲーム展開をに興じてみることにしましょう。前回は急ぎ足の説明でしたが、今回は確率期待値のターン毎の積み上げ値が「70%を超えると、該当拠点が無力化される」とのルールを課してみることにします。

 まず着目する点としては、拠点「H5」単体の確率期待値です。図・「拠点制圧射撃確率B」(白枠黒字)を参照下さい。拠点「H5」の無力化される期待値は63.99%EVと単体ターンでも非常に高値です。原因は拠点「H5」に1個分隊のみ配置である為、局地的な抗湛性が低下しているからです。拠点の増設による兵力分散の弊害ともいえます。

 その高確率期待値が、ソ連軍に幸いし1ターンに拠点「H5」のみが無力化したと仮定します。ここでは先の「70%超=拠点無力化」ルールが僅かに届きませんが、現実のゲーム展開でも十分に在り得る確率です。少しだけ、ソ連軍に勝敗の天秤が傾いたとでもお考え下さい。

 2ターンも引き続き残った2拠点の掃討は続きます。射撃地点「A+B(21.53%)」(累積期待値43.06%)は変わらず「J4」に射撃を加え、「G6」への射撃はC地点の火力(55.87%)を新たに加えて「C+D(63.99%)」(累積期待値72.11%)地点の射撃とします。この場合E地点の小隊は移動のため待機(「G6」へは射線が引けない為に射撃不可)。

 累積された期待値は、2ターンでキルゾーンの無力化成功の可能性を表しているようです。特に拠点「G6」の累積期待値は70%を超える為、拠点は無力化された、と今回のシミュレーションでは判定しよ良いと思います。残る拠点は「J4」のみとなります。この拠点「J4」も2ターンの累積期待値は40.36%と十分に危険水域に達していると言えます。

 3ターンの詳細まではここでは記しませんが、累積期待値をターン刻みに追うことで、やはりソ連軍は3ターン前後で独軍のキルゾーンを無力化に成功するだろう、との感触を数値的に感じます。ここまでの結論として2拠点・3拠点のキルゾーンどちらでも大局的にはあまり変わらないかもしれない、との残念な、しかしゲームプレイ的にはとても白熱するであろう展開をゲームデザイナーは用意してくださったのだろうと思います。

Chance of Survival / Squad Leader when Stuck

 読み切り考察としては随分長い章立てになってしまいました。この章は私がふと思った感触を頼りに数値を算出してみた結果でもあります。私がふと思った点、とは「分隊は、分隊長とスタックすることでどのような利点が生じるのか? そしてもし存在するならば分隊長と行動を共にすることによるリスクは存在するのか?」というものです。数値計算など無くとも歴戦のプレイヤーならば感覚などで気づかれておられるでしょうし、SLの長い歴史から見ても既知の点でもあると思います。つまらない章かもしれませんが、ご笑納くだされば有難い限りです。

 SLには数種類の士気値と指揮能力値を持つ分隊長ユニットが存在します。高い士気値は分隊の生存確率を高め、指揮能力値の高い分隊長は分隊の持つ火力を最大限に引き出すことが可能です。ユニットは同へクスに存在する分隊ユニットに様々な恩恵を寄与する点がSLのモチーフであり、ゲームに面白さと複雑さを与えるキーユニットとも呼べる存在です。

 しかし、このキーユニットである分隊長と行動を共にする分隊は必ずしも良い点だけを享受できるのでしょうか。少し詳細な説明になりますが、Rulebook.12.22を参照すると、射撃を受けたへクスの分隊長が士気チェック(以下MCと表記)に失敗(負傷状態)すると、同一へクスの分隊は全て現状のMCの後、再びMCを受ける義務を負う、と規定されています。この状態は、一度の被・射撃により2度のMCを被る可能性が確率上存在することを意味しています。

 また、Rulebook13.6に「負傷」状態の分隊が士気チェックに失敗すると「除去」される……つまり「KIA」として盤上から取り除かれるわけです。

 通常、分隊は一度の射撃で「KIA」を引き当てない限り「除去」されることは有りませんし、士気チェックは一度きりです。しかし分隊長と行動を共にすることで、一度の射撃により「2度のMCを受ける可能性」が発生します。不運な分隊は、2度のMC失敗という形で盤上を去る確率が生じるのです。それは僅かばかりの確率かもしれませんが、明確に致死率を増加させる結果になってはいないでしょうか。

Blind Führer or Alter hose : Which is your squad leader?

 2D6を使用するゲームにおいて、№「7」という数値は最頻値の確率を持つ数値であることはご承知のことと思います。ゲームデザイナーは古くから2D6を用いる幾多のゲームにおいて№「7」を成功と失敗のどちらに設定するかで、神の天秤の傾きを調整して来ました。SLでは、ドイツ軍の標準的分隊の士気値は「7」に設定されています。これは修正値を加味しない通常のMCならば、「トラブルを回避し易い」状態に天秤が「16.68%」程度傾いて調整されていると言えます(MC成功確率58.38%)。それならば、指揮官と同一へクスに存在する分隊とそうでない分隊は生存確率においてどの程度の違いが生じるものなのでしょうか。

 SCENARIO#1には5種類の指揮官が登場します。実際は各指揮官ユニットごとにネームが付与されているのですが、私のユニットは文字が小さく良くわかりません。WWW。ですので数値(士気値&指揮能力)で分ける点を皆様お許し下さい。改めて指揮官は数値別に「8-0」「8-1」「9-1」「9-2」「10-2」の五種、合計8人の指揮官が登場します。

 分隊は指揮官と行動を共にすることで安心感と隊の規律を高め生存確率が上昇するように思えます。ゲームでは、分隊は指揮官と同一へクスでスタックしておいた方が良いだろう、とプレイ中に私は漫然と思い込んでいたように記憶していました、それがどうでしょう。改めて、分隊「4-6-7」単体の生存確率は58.38%である、と先程述べましたが、これが指揮官「8-0」とスタックすることで51.67%にまで低下することに気づきました。指揮官「8-0」のMC成功率は72.28%と高い値を示します。それなのにどうして行動を共にする分隊は僅かではありますが危険度が増すのでしょうか?

 経験の浅い新米指揮官か、はたまたポンコツ指揮官なのか、いずれにせよわずか6%強とは言え、指揮官「8-0」は被・射撃時において分隊の足を引っ張る要素を持つ指揮官であることが数値的に証明されました。その原因は指揮官「8-0」のMC失敗確率「27.80%」が分隊の生存確率に織込まれた影響だと考えられます。Rulebook.12.22によるゲームへの影響の一端でもあり、良く表現するならばゲーム内容をより多様化させる「変数」の一部でもあるのでしょう。特に指揮能力値が「0」の指揮官は分隊ユニットへの能力の還元が為されない故にMC時において僅かではありますがリスクを増大させてしまうようです。

 さらにこの数値を突き詰めると、少々怖い結果が数値として表に現れてくることになります。詳細は図・「指揮官「8-0」生存確率」に記載していますので、皆様には各々ご覧頂くとして、不運が重なった状況………「指揮官「8-0」のMC失敗を受け分隊が2度のMCを課せられた、と仮定しそして分隊がその2回のMCを共に失敗した」場合(図内、最下段)、皆さんも良くご存じの結果である分隊ユニットの「除去」が発生します。確率は4.83%………およそ同条件が重なる状態の20回に一度、分隊ユニットは盤上から除去されることになります。

 単体で行動する無傷の分隊が一度の射撃によって発生したMCで「除去」になる規定はルールブックには存在しません。(誤解をしないでいただきたいのですが、あくまでも「MCの処理」であることをが前提です。)。無傷の分隊には単発のMCの結果は「異常無し」か「Broke」か、の二択しが存在しないのですが、「指揮官と共に行動する」という状況が課せられると、「除去」という最悪の結果が追加されてしまいます。頼りになるはずの同胞の指揮官が同一へクスに存在するだけで、です。

Ritterkreuz von hinten

 無能な指揮官は、味方の弾丸によって背中から撃ち抜かれることもあったと言います。敵はソ連兵だけではありません。寒さと泥濘……そして押し寄せるソ連軍。過酷な戦況の中で分隊を丸ごとを死の淵に引き摺り込みかねない無能な上官を兵たちの手で処分する………あってはならない事ではあるのですが、極限状態の中、有能な指揮官を兵達が強く望んだ証左なのかもしれません。

 前章で#1に登場する最低の「士気&指揮能力値」の分隊長を例に指揮官とスタックする分隊の危険を数値を基にお話をしました。残念ながら、すべての指揮官はたった一度のMCに失敗することで、スタックする分隊に僅かな数値ではあるものの致命的な確率を発生させ得る機能を有しています。今回の考察の間に「SLのゲームデザイナーは意図的にこの致死率を発生させていたのだろう」と強く私は思うようになりました。戦争という極限状態では人は自分の本性をさらけ出さずにはいられないのだろう、とも考えます。指揮官も当然ながら人である以上、様々な間違いや性格的欠陥が周囲に影響を与え、仲間を死に引きずり込むのかもしれない、と。あくまで戦争を体験したことのない一個人の知ったかぶりな意見でもあります。戦術級は、特にSLのような戦場をミニマムに再現する戦術級ゲームは常に私をゲーム以外の視点を見せようとしてくるように感じます。少々蛇足が過ぎたようです。

最後に#1に登場する各指揮官と独軍分隊(4-6-7)のスタック時に発生する生存確率の数表を掲載して今考察を終わりたい、と思います。

 以下の掲載している数表は、#1に登場した指揮官と分隊(基本「4-6-7分隊」との確率値。但し、指揮官[10-2」のみ「6-2-8」親衛隊分隊との確率値を表示)を表示しているものです。能力値が高くなるほど、分隊の生存確率も単体よりは上昇していますし、致死率も当然反比例し低下してゆきます。

 最後に、「回復」に関する話をするのは少々ズルいかもしれません。これまで、指揮官の「負」の側面ばかりを強調してお話してきました。確かに、指揮官とスタックする分隊の致死率は上昇するのですが、その致死率はかなりの「外れ値」でもあります。つまり滅多に発生しない確率です。それに対して通常の有効確率内において「負傷」した分隊を回復させる機能を持つのもまた指揮官なのです。指揮官とスタックするデメリットばかりを数値化していますが、「回復」というメリット、負傷した分隊が指揮官とスタックをしていないと発生しないイベントでもあります。

 ゲーム開発からすでに半世紀、枯れたシステムは扱いやすく、さらに、新しくADVANCEなSLも発生し、静かなブームが連綿と引き継がれてゆく名作ゲームです。まだ世界中にSQUAD LEADERの愛好者が沢山おられることを願って筆を擱きたいと思います。

 最後までお読み頂き、有難う御座います。

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