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【呪印感染】『最初の災い』 第惨幕【仮想卓ログ】

はじめに

 こちらは、『呪印感染』の仮想卓ログ#3です。#1はこちら
 以下の要素が含まれます。
 ・公式ルールブック掲載シナリオ「最初の災い」のネタバレ
 ・死体を含むホラーおよび、グロテスクな描写
 ・凡ミス祭り
 ・GMとPLの一人多数役
画像について
 キャラクターのアイコンで使わせて頂いたピクルーのメーカー、並びに、ココフォリアで使用したマップについては、記事の最後でURLを掲載しています。

PC紹介

名前:加藤アラヤ 年齢:20 性別:男性
出自:職人 容姿:無面目・虚弱・不気味
職業:一般学生 経済力:4
アイテム:[道具]×1 [お祓い]×1
《過去と秘密》
《恐ろしい約束》《霊感》
[願い]《恐ろしい約束》を取り消す。
[大切な人]加藤アンゴ (間柄:従兄弟 職業:刑事)
××大学・民族学部に所属する大学生。
父方の家系は代々仏師を生業にしている。アラヤ自身、本来は家業を継ぐため仏教美術の道を選ぶべきだったが、あまりセンスが無かった。
好きな物/民俗学 オカルト フィールドワーク
嫌いな物/色恋沙汰

名前:石田ひより 年齢:19 性別:女性
出目:医師 容姿:可愛い・健康的・明るい
職業:優等生 経済力:3
アイテム:[道具]×1 [防具]×1
《過去と秘密》
《相談者》《無垢な魂》
[願い]誰かを救いたい
[大切な人]松田アスカ (間柄:親友 職業:学生)
××大学・医学部に在籍する大学生。
両親ともに地元の病院に勤める医師で、自分も人を助けられる人間になりたいと思っている。
明るく純粋で清潔感があり、誰からも好かれる性格で、人との縁を大事にしている。おかげで、運命の出会い、のような物もうっすら信じていたりする。
好きな物/少女漫画
嫌いな物/道半ばで諦めること

解決フェイズ・4

[シーン:邂逅]PC2 石田ひより
 知己表(8) > 「推理」
 『内容』PC同士が出会い、今回の事件の解決方法について、推理する場面を演出せよ。
 『終了条件』いずれかのPCが「もっと詳しく調べてみましょう。きっと、なにか良い方法があるはずです」と言う。
 場所表「都市」(6) > 「飲食店」
 ここはどこにでもある飲食店だ。しかし、客の入りはまばらで、周囲には空席が目立つ。

 調査の進展を報告するためにファミレスへあつまることになった。
 加藤アラヤは左目に医療用の眼帯をして現れた。心配をかけたくは無いが、ひより自身も先日怪我をしてしまった。
「…アラヤ先輩、それ、どうしたんですか?」
「転けたんだ。アパートの外階段がだいぶキててね。運悪く踏み板が割れたんだよ。おかげで瞼を少し切った。……ひよりさんこそ、腕に巻いてある包帯は何?」
「こ、これは、自室の窓硝子が突然割れたんです。なにか模様が描いてある石が投げ込まれて」
「とうとう本当に危害を加えてきた、ってことだね。直接接触してくるのも、近そうだ」
 ひよりは背筋に冷たい物を感じて、店内を見渡す。幸い、赤い影は見当たらなかった。
「あの、割れた窓から〈なにか〉が入ってくる、なんてことはありませんか?今は段ボールとガムテープで塞いでるけど、やっぱり締め切れないと思うと、恐い気がして」
「あぁ。多分だけど、家主の許しなしにアレが家に上がることは無いと思うよ」
「……え?」
「よく考えて。あの〈なにか〉が、無条件で壁や扉をすり抜けることが出来るなら、俺たちはとっくに取り殺されてる。古くから『人ならざる物』は、家主に招かれないと家に上がれない、と言われているんだ」
「な、なるほど!でも、だったらなんで窓を割ったんでしょうか」
「アレが思考しているのかどうか、分からないけど。…窓が割れたことで、普段と違う来客の予定が出来たりしなかった?」
「業者さんに電話をして、近いうちに窓を見に来て貰うことになってます」
「くれぐれも、外の人間を家に上げるときは、気をつけた方が良い。怪異相手じゃなくても、ひよりさんは女の子だし特にね。少しでも違和感があったら絶対に玄関を開けないこと。いいね?」
 その言葉に強く頷く。
 家主に招かれないと家に上がれない。……たしか、吸血鬼物の恐怖映画で似たような演出をみたことがある。全世界的な通説なのだろうか?
「聞いても良いですか?」
「なに?」
「…なんで、招かれないと家に上がれない、んでしょうか?」
 アラヤが、片眉をつり上げてどこか楽しそうな表情をした。
「それはねぇ。『境界』や『内と外の概念』から喋らなきゃいけないな。講義三回分ぐらいは優にかかると思うんだけど、残念ながら今の俺たちは時間に余裕が無い」
 仕方ないからまた今度にしようか、と彼は微笑んだ。
 なるほど。こういう…迷信や民間伝承を収集・研究するのが、民俗学、なのかもしれない。
 といったところで、店員が午後のケーキセットを運んできた。アラヤが珈琲とガトーショコラ。ひよりが紅茶とショートケーキだ。
「それで、ひよりさん。俺の心が折れてる間に調べた物を、見せてくれるって?」
「あ、そうだった。これです」
 ひよりは、鞄からUSBとルーズリーフのファイルを出して、アラヤに手渡す。
「〈呪印感染〉が関わっていそうな怪死事件をピックアップしてきました。USBのほうは、ネットで集めた記事をまとめてあって、紙媒体しか手に入らなかった物は、ファイルに。手当たり次第だったので、真偽の程が分からないものばっかりですけど……」
 アラヤはファイルをぱらぱらとめくりながら、よく調べてある、と呟いた。
「自殺に、失踪、バラバラ殺人…どれもかなり派手な事件だけど、真相は全て闇の中か」
「はい。警察の捜査は、どうしても現実的な証拠を追いかけますから、特定の人にしか見えない痣や、不思議なメールなんて、共通点としてピックアップはしても、それがどういう意味を持つかは、分からないんでしょうね。――アラヤ先輩が遭遇した『バラバラ死体落下事件』のネット記事もありましたよ。目撃者が多かったんで、SNSでも話題になってました」
「はは…笑えねぇな……」
 話題性抜群なだけに、さぞかしバズっただろう、と皮肉をこぼして、アラヤがファイルを脇に置く。
「俺の方も、共有しておきたいことがある」
「先輩も、なにか収穫が?」
「……まぁ、一応。あの日、直接会って話をするはずだった工藤聡とのやりとりの中で、彼が興味深いことを言っていた」
 結局詳しくは聞けずじまいだったが。苦々しい顔で珈琲を啜る。

「曰く、〈十の災い〉には、必ず退ける方法がある」

 ひよりは思わず立ち上がりそうになって、落ち着いて座り直す。
「ほ、…本当なんですか?災いを退ける方法が。それじゃ、その方法を見つけられれば、私たちは助かるんですね」
「可能性がある、だけな。必ず助かる方法があるなら、こんなに死人や行方不明者が出るはず無い。たとえ災いを退けることが出来ても、穢れが残れば向こう側に連れて行かれる。――完全に影響を絶つのは、難しいってことなんだろう」
 ガトーショコラにフォークを刺して口に運ぶ。その表情も声も、重く沈んでいた。きっとあの日見た光景を思い出しているのだろう。
 ひよりは、つとめて明るい声を出した。
「でも、可能性はゼロじゃないんですよね」
「……まぁね」
 アラヤはそんなひよりを見て、ふふ、と笑う。
「ひよりさんが居てくれて良かった。俺だけじゃきっと、とっくに諦めてた」
「嫌いなんです、諦めるの。天命を待つのは人事を賭してから、でしょ。――絶対に二人で生きて、ラブラブデートをしましょう!」
「ラブラブデートはしないよ?いい歳した大学生が『ラブラブ』なんて言葉使って、恥ずかしくないの?俺は恥ずかしいよ(早口)」
 彼はギクシャクした動きで、誤魔化すように珈琲を啜った。
「えーっ、ツレない……(泣)」

[シーン:邂逅]終了
【希望】+2
[ 加藤 アラヤ ] 希望 : 3 → 5
[ 石田 ひより ] 希望 : 2 → 4

石田 ひより : 私もここで《伏線》を取ります。書き込む内容は…『ラブラブデート』です!
加藤 アラヤ : 恥ずかしいからしないって言ってるでしょッ。

[シーン:状況]
 状況表(2) > 「見えない恐怖」
 事件が発生してから、PCたちは誰かから監視されているような気がする。こんなときこそ、気を強く持たなければ……。
 『使用可能能力値』【精神】
[ 加藤 アラヤ ] ダイス : 0 → 3
[ 石田 ひより ] ダイス : 0 → 2

加藤 アラヤ : 《恐ろしい約束》使用
 関係性を結んでコストが減ったので、ひよりさんの希望+1 俺は±0ですね。
[ 石田 ひより ] 希望 : 4 → 5
石田 ひより : よかった。ずっとアラヤ先輩の希望が減っていくの、心苦しかったんです。
加藤 アラヤ : そういえば俺、間違えてたんだけど、《相談者》ってシナリオ1回だったんだね。ごめんね。
石田 ひより : あ、本当だ。……誠に申し訳ございません。
GM : GMも気がついてなかった。以後気をつけます。

[シーン:判明]

加藤 アラヤ : 今回は待機しようかな。
 結べる《過去と秘密》も無いし、ダイス多いので[判定]に挑戦します。
石田 ひより : お、私の手番からですね。

 手番:石田ひより

石田 ひより : D-5を[名前記入マス]にして、D-6「赤い影」の情報を開けます。

・赤い影・
 数年前、とある動画配信者が〈呪印感染〉に感染したと告げ、ある生放送中に〈赤い影〉に気づくや、悲鳴を上げて自宅を飛び出し、失踪してしまったという。その動画を見てみると、〈赤い影〉は駅のホームで見た〈なにか〉にそっくりだ。
 また、動画配信者は失踪直前、〈なにか〉の撃退方法を知ったと告知していたらしい。動画配信者の考察を探せば、別の解決策が分かるかも知れない。
 GMは[物語展開シート]A-6マスに[キーワード:真相②]を追加すること。

石田 ひより : 結ぶ関係性は《無垢な魂》です。
 指定するイベントは……「入念な準備」にしましょう!もうお話も後半なので!
加藤 アラヤ : あまり俺の[判定]を当てにしないで欲しいな。
石田 ひより : 先輩一人でなんとかなるとは思ってないです。無理しないでください。
 まずは残ってるイベント「手がかり」を削り切っちゃってください。これで「1」が振り直せる!
加藤 アラヤ : 確かに。
 [効果減少]でダメージを殺しきれ無かったの、惜しかったからね。

 手番:加藤アラヤ

加藤 アラヤ : イベント「手がかり」に[判定]します。
 もうええでしょう。
 使うダイスは二つ。希望を一つ消費して、3d
 「情報収集」のクリア特典で4d …《恐怖が好物》って偶数と4だよな。今のところ偶数無いから、大丈夫か。

[ 加藤 アラヤ ] 希望 : 5 → 4 ダイス : 3 → 1
 4D6 [6,5,3,5] > 19

加藤 アラヤ : ここから宿命と交換…《肉体》を発動させないために連番を避けたい。
 宿命の「4」と俺の「5」を交換する。これで連番は無くなるよな。
 計18 イベント「手がかり」クリアですね。
石田 ひより : また一つ生存率が上がりましたね。
加藤 アラヤ : ……エンディングが見えてきたし、そろそろ【希望】を残して終えることを考えないとな。
[宿命]:5・1・5・3

[シーン:恐怖]

 恐怖表(6) > 「隙間」
 建物の影、ベッドの下、ふすまの隙間など……様々な死角から<なにか>の息遣い、気配が漂う。
 [効果算出]PC2体に2+[呪印÷2]d。
 3D6 [5,1,2] > 8

加藤 アラヤ : 「1」と「2」が振り直せるから、3以上は確定だよな。
 希望1消費して、2dで挑もうか。
石田 ひより : 私も希望を1点消費して、3dで振ります。

[ 加藤 アラヤ ] 希望 : 4 → 3 ダイス : 1 → 0
 2D6 [3,3] > 6 命運 : -6 → -8
[ 石田 ひより ] 希望 : 5 → 4
 3D6 [4,3,3] > 10

石田 ひより : 命運減少0です。
 アラヤ先輩が順調に【命運】の負債重ねてるの、心配なんですよね。《無垢な魂》の使いどころが分からない。
加藤 アラヤ : 4dは大きいからね。まだ【希望】もあるし、もったいない気がしてさ。
 なにはともあれ、とりあえずこれで★の付いたイベントに挑戦できる、ってわけです。

※凡ミス発生中※
 ログ編集中のPL1 : この[効果減少]処理、だれもダイス交換して無くない!?
 …誠に申し訳ございませんでした。以後気をつけます。

※凡ミス発生中※

解決フェイズ・4 終了
制限時間3⇒2

解決フェイズ・5

 [シーン:邂逅]PC1 加藤アラヤ
 知己表(9) > 「協力関係」
 『内容』PC同士が出会い、いずれかのPCが今回の事件を生き抜くために、より協力関係を強めようと、提案する場面を演出せよ。
 『終了条件』提案されたほうのPCが、提案に承諾する。
 場所表「都市」(3) > 「帰宅路」
  ここは帰宅路だ。時間帯のせいか周囲に人気はなく、耳鳴りがするほどの静寂に包まれている。

「アラヤ先輩…実は私、すごく不安なんです」
 二人は日暮れ前の道を歩いている。ひよりが、不意に立ち止まった。
「そりゃ、そうなるよね。こう日ごとに色んなことが起きては……」
「そんなこと無い、大丈夫。…って思ってても、考え出したら止まらない。――私だけならまだしも、周りの人を巻き込んじゃったらどうしよう……」
 胸を押さえ、声を詰まらせて、彼女は瞼一杯に涙をためていた。
「人を慰めるのはあまり得意じゃないんだけど…。結局、あまり自分を追い詰めない方がいい、とか分かりきったことしか言えないや」
「アラヤ先輩は、失いたくない人、大切な人は居ますか?」
「居るよ。だけど、みんな自分の身は自分で守れる人だから、あまり心配はしてない」
 アラヤの言葉を受けて、ひよりが少し考えるように黙る。
「……ごめんなさい。私、酷いですね。今一瞬、気楽そうでいいな、なんて思ってしまった」
「恥じることは無い。口に出さなければ分からないんだから。――ふっ。気が晴れないなら、〈おまじない〉をしてあげよう。ないよりマシ程度の気休めだけどね」
「お、おまじない?」

「ノウマク サンマンダ バザラ ダン センダ マカロシャダ ソワタヤ ウンタラタカンマン」

 アラヤが唱えて、ひよりの背中を軽く叩いた。
「?、??」
「覚えられるならば、3回から唱えるといい。不動明王は魔を断ち勇気をくれる」
「……ずっと思ってたんですけど、アラヤ先輩って、敬虔な仏教徒だったりするんですか?今のは真言?ですよね?」
「日本人の大半は無宗教だよ。俺も例に漏れず、何を信じてるわけでも無い。本当に困った時に助けてくれるなら、神だろうと仏だろうとジーザスだろうとアッラーだろうと、なんだっていいかな。……まぁ、家柄的に、真っ先に頼るのは仏様だけど」
「家柄、ですか?」
「俺はなんでもない学生だけど、父と祖父は、一本の木から仏様を掘り出す仕事をしてる」
「わぁ、なんかすごいですね。御利益がありそう」
「ありそう、だけな」
「…ありがとうございます。少し元気が出ました。――大丈夫。私たちは着実に情報を集められてる。同じ〈赤い影〉に悩まされてる動画配信者さんのことだって、たどり着けた。あの人が調べていた〈撃退方法〉が分かれば、きっとなんとかなる」
 生放送中に行方が分からなくなった例の配信者。彼は失踪の直前、〈赤い影〉の撃退方法にたどり着いていたらしい。
 彼の自宅を見ることは出来るだろうか。調査ノートなどが残っているだろうか……。
「それについては、少し当てがある。任せてくれない?」
 ひよりが頭を悩ませていると、アラヤが言った。
「当て、ですか?」
「無理を通させるけど、命がかかってるし、大目に見て貰おうかな」
 俺たちには時間が無いからね。
 口の中で呟いて、右手の甲を撫でた。

加藤 アラヤ : このタイミングでアイテムの、[お祓い]をひよりさんに使って良いかな。
石田 ひより : 私が貰っちゃっていいんですか?先輩が使った方が。
加藤 アラヤ : ひよりさんに使いたいんだよ。
石田 ひより : ……ありがたく貰っておきます。アラヤ先輩の職業データって、絶対学生じゃないですよね。
加藤 アラヤ : 学生じゃ無くて宗教家で取ってるよ。
石田 ひより : ははぁ、どーりで…。

[シーン:邂逅]終了
【希望】+2
[ 加藤 アラヤ ] 希望 : 3 → 5
[ 石田 ひより ] 希望 : 4 → 6 → 7

[シーン:状況]
 状況表(5) > 「危機はすぐそこ」
 得体のしれない<なにか>は、間違いなくそこまで迫ってきている。頼れるのはもはや、自分たちの肉体だけだ……。
 『使用可能能力値』【体力】

加藤 アラヤ : いつも通り、《恐ろしい約束》を使わせて貰う。
 ひよりさんは+1 俺の希望変動はなし。
石田 ひより : いつも希望ストックありがとうございます。先輩こそ私の希望です。
加藤 アラヤ : 恥ずかしいから辞めて。

[ 石田 ひより ] 希望 : 7 → 8 ダイス : 0 → 2
[ 加藤 アラヤ ] ダイス : 0 → 2

[シーン:判明]

 手番:加藤アラヤ

 自宅アパートの外廊下、玄関扉の前で電話をかける。蛍光灯は相変わらず点滅していた。
 相手は加藤アンゴ。彼は年上の従兄弟で、なにかと交流がある。警察勤めでもあるので、一番信頼の置ける相手だ。
「――もしもし、アンゴ兄さん?」
『アラヤか。…どうしたんだ、お前からかけてくるなんて、珍しい』
「いや、少し聞きたい事があって」
『聞きたい事?』
「兄さんは知ってる?五年ぐらい前の…心霊系配信者が行方不明になった事件」
『知ってるも何も…つい先日、その事件の引き継ぎを受けた所だよ』
「…その事件って、今の捜査状況はどうなってる?」
『これは遺族やマスコミにも公開した話だがな…――動画内での言動を見る限り、捜査当局は薬物関連の事件とみている。呪いが感染するだの、赤い影だの……正直俺もまともには見えなかったしな』
「……」
『おい、どうした?』
「一生のお願いだから、資料の一部を見せてくれない?…全部じゃなくていい。その配信者が調べていた呪いに関する部分だけ。彼が使っていたノートとか、メモだけでもいいからさ。……命がかかってる」
『お前、警察ナメてないか?身内のお願いだからって、資料や遺品をみすみす渡すと思っ……おい、命がかかってる、って言ったか?お前、何やってるんだ?おかしな事に首を突っ込んでないだろうな?』
「昔からアンゴ兄さんは、どんなに荒唐無稽でも、俺の話を最後まで聞いてくれたね。…分かってる。到底信じられないってことは、よく分かってる。だけど、俺はふざけてないし、酒も薬もやってない。――その配信者が失踪する直前に調べていたことが知りたい。あまり時間をかけられない」
『…はぁ。お前は全く……どうしてこう、土壇場になってからしか、人を頼らないんだ』
「…ごめんなさい」
『めぼしい資料や写真を、お前のパソコンに送っておく。あとでちゃんと理由を聞かせてくれるんだろうな』
「保証は出来ないかも。それから――…」
『は?まだなにかあるのか?』
「…………俺が死んだり、消えたりしたら、石田ひよりさんのことをよろしく頼みます」
『お前、さっきから何言っ――』
「……」
 通話を切り、端末が完全に沈黙したのを見届けてから、玄関扉を開く。
 靴箱に置かれた盛り塩は黒く濁り、崩れていた。

加藤 アラヤ : っというところで、C-6を[名前記入マス]にし、[大切な人]をB-6へ配置し、A-6「真相②」を開けます。
石田 ひより : うわぁ…死んじゃヤだぁ……。
加藤 アラヤ : 死亡フラグをたくさん立てておこうね。

・真相②・
動画配信者の考察が見つかった。どうやら、〈赤い影〉は、ある種の真言を唱えることで退散させることができるらしい。
そして、キミは調査の末、その真言を入手することに成功した。
あとは、その真言を全員で唱え続けるだけだ。
[特殊イベント]:★[儀式行使]に[判定]可能
[ 加藤 アラヤ ] 希望 : 5 → 6

加藤 アラヤ : シナリオクリアが見えてきた。
 当然ながら、指定イベントは「儀式行使」。はたして、あと2フェイズで削りきれるんだろうか……?
石田 ひより : 頑張るしか無いよね…。

GM : (さて、クライマックスのテキストを用意しないと……)
石田 ひより : (GMさん、ちょっといいですか?やってみたいことがあって――)

[シーン:GM]/クライマックス

 その晩、石田ひよりは加藤アラヤの自宅を訪ねた。
 外階段を上り、廊下をまっすぐ歩き目的の扉の前に立ち止まると、白い指先で、インターホンを鳴らした。
 辺りはすでに暗かったが、外廊下には等間隔に蛍光灯が並んでいた。しかし、『加藤』の表札が出ている扉の前だけは、何故か真っ暗だった。頭上の蛍光灯が切れているようだ。
 室内から返答は無い。
 キッチンの明かり取りの窓からは、室内灯と人影が見えている。留守のはずが無い。
「あのぉ、すみません。…アラヤ先輩?私…私です。石田ひよりです」
「ひよりさん?…こんな時間にどうしたの?」
 扉越しに聞こえた声はくぐもっていた。
「家でボヤ騒ぎがあって。これも、呪いのせいなんでしょうか。……家に居るのが恐くなったんです。あのまま私が居たら、今度はボヤ程度じゃすまないかも…。――あの、中に入れてくれませんか?」
「ひよりさんは、ここまでどうやって来たの?」
「え?…歩いてきましたよ?どうしてそんなことを聞くんですか?」
「本当に?」
 扉の内から聞こえる声は、疑り深く念を押してくる。
「どうしてそんなこと、聞くんですか?早く開けてください」
「ひよりさんは怖がりなんだよ。怪談話を聞いた後、夜道を一人で帰るのが恐くて、日が落ちる前に帰らなきゃ、って急いじゃうぐらいには」
 扉の内から響く声は、静かに続けた。
「もう外は、こんなに暗くなってるのに、君は、本当に、歩いて、俺の家まで来たの?」
「――アラヤ先輩、扉を開けてくれませんか?」

「――…お前、誰だよ」

「どぉおおしてぇえばれちゃったのぉおおお???
 あけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけてあけて…」

 室内には、扉を叩く音と、ノブを回すガチャガチャという音が異様に響いている。
「どうしてもなにも、本物のひよりさんは、もう部屋に居るんだよ」
「……っ」
 本物の石田ひよりは、部屋の隅で震えながら、必死に口を押さえていた。気を抜くと悲鳴を上げそうになる。得体の知れない存在が、扉を挟んで向こう側で、自分のような声でしゃべっていたのだから。

GM : このシーン以後、場所は「自宅」「自宅近く」に限定されます。
 クライマックスです。張りきっていきましょう。
石田 ひより : がんばりました!
加藤 アラヤ : 全体通して信頼を得たヒロインや親友が、終盤でおかしな動きをし始めて、実は怪異が成り代わってて本物は別に居ます、っていう定番のシーンね!心臓に悪いからGMと結託して無断でやるの辞めてもろてぇ!
石田 ひより : でも、良く最序盤で出した「ちょっと恐がり」風のRP拾いましたよね。流石です、先輩。
加藤 アラヤ : 俺の臨機応変度合いをもっと褒めろよぉ!

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エンドクレジット

 加藤アラヤ……色んなタイプの男の子
 石田ひより……つつじメーカーβ

 マップ……首塚首子様

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