・はじめに・
これは一人で【光砕のリヴァルチャー】をプレイし小説風ログにしたもの上編です。
初めての方は、二人の出会いをフィアンセの視点から描いた前章「若輩は猫である」からどうぞ。
明確なシナリオはありませんが、基本構成としては公式ルールブックに掲載されている「day in day out」をイメージして進行しました。
・画像について・
PCアイコンは、ぴくるーのメーカーで作っています。
記事の最後に、メーカー様のURLをまとめて掲載させていただきます。
・キャラクター・
シュヴァリエ:一条ハルカ
適性:純血 物語:王
リヴァルチャー:騎士王
フレーム:シュライク
ウェポン:カザミヤ・白雪/アイラ417MOD1
クロニクル:【追加ブースター】【エース】
相手に何と呼ばれたい?:なんでもいい
相手をどう呼ぶ?:田沼
極めて純度の高いシュヴァリエの家系に生まれる。長年フォートレスの運営と守護を担ってきた父親がミッションから戻らなかったことをきっかけに、その王冠は息子である彼に移った。
幼少の頃から、あまたのプレッシャーにさらされてきたせいか、他人に対して心を閉ざしている。
なまじ身体能力が高く一人で何でも出来てしまうのもコミュニケーションが苦手な理由の一つ。
フィアンセ:田沼ミコト
適性:フィアンセの血 物語:無限の信頼
《感情回路》
『信頼は一日にしてならず』
『君は猫である』
相手になんと呼ばれたい?:ミコト
相手をどう呼ぶ?:一条くん
母親と二人暮らしで、金銭的に苦しい生活をしている。
どこかからの隔世遺伝で、生まれつき背中にコネクタが存在する。
フィアンセになれば、助成金が出ると知って、国からの公募があるたび応募していた。
若干、空気が読めない。
――――――――――デイズ――――――――――
前回のあらすじ。
私の名前は田沼ミコト。
いつも怒ってるみたいなシュヴァリエ・一条ハルカのフィアンセとして、一緒にリヴァルチャーに乗ることになった。
まるで心を閉ざした保護猫のようなパートナー。どうやったら命を預けてもらえるぐらい信頼を勝ち取れるのか。
最低ラインがゴール地点の奮闘記がはじまったみたい。
当然なんだけど、朝教室に入ると、普通に一条ハルカがそこにいる。
彼の周囲にはいつも不思議な緊張感があって、話しかけるのをためらってしまう。おまけに、いつも仏頂面であんまりしゃべらないから、何か怒ってるのかな。
「…い、一条くん、おはようっ!」
急にキレられたらどうしよう、という緊張で声が裏返る。
「……おはよう」
怒られたりはしなかったけど、何か言いたげにじっと見られている。なんだろう。
「どうかした、かな?」
「…田沼って、中学のとき図書委員じゃなかったか?」
一瞬空気が凍った。
中学の頃、図書室で一条くんに睨まれたことを思い出す。もう十分気まずいんだから、わざわざ思い出させないでほしい。
「ぐぎぎぎぎ………ど、どうだったかなぁ…そうだったような、きっ、気もするなァ。いやぁ?図書委員っていっても、アレだよっ?……あんまちゃんと仕事してなかったし、ねぇ?」
動揺しすぎて声が裏返っているのがわかる。
「嘘までついて誤魔化したいのか」
「……ごめん」
「やっぱりあれは田沼だったんだな」
「なんか、怒られると思って、気まずくて……」
「は?俺は別に怒ってない」
一条くんは、眉間にしわを寄せて語気を強くした。
「そういうところぉ…!」
きつい目元や、ぴりぴりした空気感も相まって、明らかに怒っているようにしか見えない。
「私も旧世界の作品が好きだから、ちょっと、おっ、て思っちゃったとこもあって。でもあのときだって別に、詮索しようと思ったわけじゃないよ。……気を悪くしたなら謝る」
そうだ。今はぐいぐい行っても逆効果でしかない。
(まずは、テリトリーを侵害するつもりはないって、わかってもらわないと)
「あ、そうだ。昨日ね、ウチのお母さんも、よろしくお願いしますって。よかったら今度、晩ご飯食べに来てね、とか言ってたよ!」
それでも沈黙に耐えられなくて、わっと早口になってしまう。
言ってしまってから、やらかしたと思う。こんなことを言って、シュヴァリエとフィアンセはオトモダチじゃないんだ、とか怒られやしないだろうか。
「……男子を家に誘うには、順序とかがあるんじゃないのか?」
「あれっ?ははっ…そ、そうかもっ!……一条くんも、そういう冗談?言うんだ、ね。あはっ…あははははっ!」
なんだか妙に気が抜けてしまった。そうすると、今までの緊張が嘘みたいに笑いが止まらなくなった。
結局、朝の予鈴が鳴るまでずっと、私は一条くんのよこで笑っていた。
―――◆―――◆―――◆―――◆―――◆―――
放課後、一緒に帰ろう、と言うと一条くんは素直についてきた。
(威嚇はされなくなった、のかな?)
「……一歩前進だ」
小さくつぶやいて胸をなで下ろした。そのとき、フォートレス全域に大きな警報が鳴り響いた。
「うわっ!ソラバミ警報!!避難しなきゃ!」
「馬鹿、俺たちは避難じゃないだろ」
そうだった。私はもう昨日までの”一般市民”ではないんだ。
「う、うん!」
強く答えて、一条くんの後に続く。
格納庫では、たくさんの整備士やスタッフが、警報音にせかされるように慌ただしく走り回っていた。
「カザミヤ・白雪、最終確認おっけーです!」「アイラはいりまーす!」
「フレームの調整どうなってる?」「チェック中です」
「ジアド装甲、問題ありません!」「ジアドシリンダー異常ナシ!」
「おっと、若いお二人の到着だ。ちっとばかしおそいんじゃないの?」
整備主任のドクが、手元のバインダーにチェックを入れながら、私たちに声をかけてきた。
「ひとまず、フィアンセのお嬢さんは観測室からソラバミの詳細なデータをもらってきな。騎士様はおじさんと一緒におもちゃの最終確認といこうや」
研修は受けたし、動作テストもした。でもいざ本番になると、心臓がバクバクして何をすれば良いかよくわからなくなってくる!
一条くんは、肝が据わってるっていうか……なんだか場慣れしてる感じだ。
(お父さんが出動するのを、なんども見ているんだろうな……)
よしやるぞ、と気合いを入れて、私も観測室へ駆けだした。
―――◆―――◆―――◆―――◆―――◆―――
「――さすがは生粋のサラブレッドだな。飲み込みが早い。あとはあのお嬢さんに任せるしかないんだが」
「……」
「ははは。ズブの素人と組まされたんで、内心辟易してんだろ。気持ちはわかるよ」
一足先にクレイドルに座った一条くんとドクがしゃべっている。
「し、素人だけど、ちゃんと研修は受けましたからっ!!それに、一条くんはまだ何も言ってないですぅ!」
軽く文句を言いながら、私自身もクレイドルへ乗り込む。
「お待たせ!大丈夫!多分大丈夫!!」
「ではお二人さん、……幸運を祈る」
ドクのその言葉を合図に、周囲に組まれていた可動式の足場がはずれ、クレイドルが閉じる。
「……――標的ソラバミは、暫定龍型。現在、フライトレベル9から8」
感覚的にクレイドル内の画面を操作して、観測室から得た情報を表示させる。
(落ち着いて、研修で習ったとおりにやるのよ…)
「一条くん、どの高度で突入しようか?」
「……まずは、フライトレベル5で突入して、ブーストムーヴで突貫する」
やっぱり不思議だ。
はじめは何を考えてるのかわからない、と思っていたのに、操縦席に向かい合って座っていると、彼の全てが手に取るようにわかる気がする。
(不安、焦り……プレッシャーを感じてるのかな?)
「…一条くんさ。帰ったら、好きな本を一冊教えて」
「……」
やがて、格納庫に敷かれたレーンに従って、私たちは外の世界へ射出される。
青い空を背負ったソラバミの元へ・・・。
《感情回路》獲得 『重荷を半分に』
――――――――――シーンカット to be continue…
・エンドクレジット・
・キャラクターアイコン
一条ハルカ…いろんなタイプの男の子
田沼マコト…だだめーかー
・マップ・
雪鍋闇鍋 様 https://booth.pm/ja/items/3221058
本作は「どらこにあん」及び「株式会社アークライト」が権利を有する『光砕のリヴァルチャー』の二次創作です。