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【フタリソウサ】天野廿三の事件簿 エピソード1-4【プレイログ】

・はじめに・
 これは『フタリソウサ』のプレイログを整理したもの、の#4です。#1はこちら
 GM/PL両者私一人なので、多少のぎこちなさはご容赦ください。また、公式ルールブック掲載シナリオ『山の死体』のネタバレを含みます。PLとして楽しみたい方は閲覧非推奨です。
 なお、同性同士のキャラクターがかなり近い距離で接触する描写が多々あります。苦手な方はお気をつけください。

・画像について・
 キャラクターアイコンについては、ぴくるーのメーカーで製作したものを使用しています。
 マップ画像は、フリーで配布されているものを使用しました。
 あわせて記事の最後に、クレジットを記載しております。

・プレイヤーキャラクター・

探偵:天野廿三
年齢:25歳 性別:男
探偵クラス:マニア
背景:暴走する知識欲
ファッション特徴:手入れしていない髪
好きなもの:本
嫌いなもの:人間
職業:在宅プログラマー
感情:
 気に入っているところ・なし
 気に入らないところ・『信頼したい』『気にかけてくれるところ』『責任取らせてやる』
「助けてくれるところ」「頼らなきゃいけないところ」「嫌わなきゃいけないところ」
技能:
 洞察>《嘘》《外見》
 鑑識>《情報》《科学》
 人間>《ビジネス》
 肉体>《追跡》

助手:牟田立夏
年齢:25歳 性別:男
助手クラス:情熱の人
背景:放っておけない
ファッション特徴:ノンフレーム眼鏡
好きなもの:天野廿三
嫌いなもの:天野廿三
職業:無職
感情:
 気に入っているところ・『やっぱりいじめたい』
「芝居上手」「弱いところ」
 気に入らないところ・『もどかしいところ』
「一人で何でもできるところ」「笑うところ」
技能:
 洞察>《現場》
 鑑識>
 人間>《社交》《説得》《流行》
 肉体>《根性》

・前回のあらすじ・
 君とカードの虫食いを埋めていく。
 お前は弱くて可愛いね。

天野 : じゃあ、ここで【フタリソウサ】を使用したい。
 次のシーンで④番を抜こう。
 強くする感情は、【頼らなきゃいけないところ】
牟田 : じゃあこっちからは【弱いところ】を昇華するとしよう。

▶捜査フェイズ フタリソウサシーン 開始 

 翌朝、遅めの朝食を食べていると、天野からLINEが入った。
『都合がよければすぐに来て』
 特に予定も無かったので、了解、とタイプしている目の前で、新しい文章がポストされる。
『都合が悪くても、とにかくすぐに来て』
 二度見、三度見してから、深く深呼吸する。

 昨日の今日でなんだこいつ。調子乗ってんのか?
 まぁ落ち着け。自分に対して少し図太くなって良い、と言ったのは僕だ。あいつにはその権利がある。
 ……でもこれは生意気過ぎやしないか?むかつくんだが?
 結局、すぐ行く、と返してあいつのアパートに向かった。

「で?」
 おかしな音がするインターフォンを鳴らし、玄関を開けた天野にわざと威圧的な言葉を投げる。
「えっ…なに?……何か、お、怒ってるの?」
「別に。怒ってない。――説明不足の文面で、緊急で呼び出されて、残暑厳しい炎天下の中を歩かされたことなんて、1ミリも怒ってない」
「あへへ…ご、ごめん、慌ててたから……。とにかく上がって」
 わざとヘラヘラした態度を取る天野に苛つきながら、慣れた部屋に入る。
 テーブルに置かれたパソコンではリモート通話が繋がっているようで、画面には神谷樹里が映っていた。
「あれ、神谷さんじゃん。――こんにちは。なんかあったんですか?」
 パソコン前にスペースを確保して、天野の隣に座る。
「神谷さん、悪いんですけど、さっきの話をもう一度お願いします」
『はい。――……今朝早く、警察から東山くんのことで連絡があったんです。彼のアパートを訪ねたところ、東山武本人と思われる男の死体を発見したって』

 神谷樹里が語ったのは、ある意味この事件の顛末だった。
 犯人と目された東山武は、アパートの自室で死んでいた。彼の手には柊裕翔を殺したナイフが握られており、遺書らしき物も残されていたらしい。
 警察では、東山武が柊裕翔を殺害しその後自ら命を絶った、と見ているようだ。

「天野、どう思う?」
「……無い。絶対無い」
『もしかして、天野さんにはもう犯人の目星がついているんですか?』
「え?え、ぁへへ…どう、かな……。でも、まだ確証が無いし。断言するのは尚早、だと思う……」
『そうですか…。サークルの中でも、加山くんと裕翔くんは特別仲がよかったので、早く真相を明らかにしてあげたいんです』
 気持ちは分かる。
 しかしそれは天野のやる気と頭脳にかかっている。隣を見ると、当の天野はスマホでグーグルのストリートビューを開いていた。
「これ、死体発見現場じゃん。まだなにか見落としでも?」
「いや……。――…あの…………」
『はい、なんでしょう?』
「あっ…な、なんでも……ふへへへっ…すみま、せん」
 天野は曖昧に笑って目をそらし、神谷さんも怪訝そうに『そう、ですか……?』と首をひねる。
「……どういうことなのか、ボクも…まだ、よく分かってない、しな…………」
 考え考えそう呟いて、天野はまた黙り込んだ。

 結局、それ以上の情報は手に入らず、神谷さんも「何か分かったらまた連絡する」と言って通話を切った。
「話がややこしくなってきたな…」
 僕の言葉に、天野は首をかしげながら胡乱な仕草でその辺にあったチラシを裏返し、ボールペンの頭をノックした。

「時系列順に話しを整理してみようか。――……まず、事件の発生は一昨日の午後三時。これは、警察が関係者にアリバイを聞いていた時刻だから、おそらく死亡推定時刻だろう、と思う」
 チラシの裏にボールペンで、事件の概要を整理する。

「その時刻、僕たちと神谷さんと加山さんの二人は、リモートで話をしていたから、アリバイがあるよな」
「……多分、そう…」
「同時刻またはそれ以前に、被害者の柊裕翔は、東山武と林河山で会う約束をしていた…あるいは会っていた」
「……でも、加山林蔵はこの時点より少し前に、林河山に行ってるはずなんだ」
「は?そんな情報あったか?」
「多分彼は、花粉症だよ。ボクたちと通話したとき、やたらと鼻をかんでいたから。本人は軽い風邪だと言っていたけど、あれは明らかにアレルギー性の鼻炎だった。この季節に珍しいな、と思ったからよく覚えてる」
「なるほど。死体が発見された付近は、鍾乳洞からの冷風の影響で、季節感が少しズレていた。季節外れのスギ花粉が舞っていたのか」
「加山林蔵は明らかな嘘を吐いた。だけど、彼のアリバイは誰あろうボクたちが証明してしまっている。……ここが崩れない限り、どんなに怪しくても彼は白だ。十五~三十分程度で林河山と往復する術があれば話は別だけど」
「無理だろうな。車を使っても、往復二時間はかかる」
「……そして、東山武は自宅で死亡。柊の死体は、鍾乳洞からの強風によって、発見されやすい位置まで転がり落ちた」
「最後に翌日の昼前、林河山へ出かけた僕たちが柊裕翔の死体を発見したわけだ」
「きっと鍵はあの鍾乳洞だと思う。あそこから吹き込む風は、死体を運ぶだけじゃ無くて、もっと別の役割があったはずだ」
「犯人と思われる男が襲ってきたのも、あのあたりを調べている時だったな」
「うん……。でもまだ何かが足りない気がする…」

 天野はそういって、神経質そうにペンの頭を囓った。
 汚いとかだらしないとか、いろいろ言いたいことはあるが、昨日みたいに爪を囓って手が血だらけになるのを見るよりずっとマシな気がする。
「……加山はなぜあんな嘘を…。いや、彼が犯人だとして動機は――………」
「はぁ…。行き詰まったなら、気分を変えて昼食にしないか。どうせ朝から何も食べてないんだろ」
 台所にある小さな冷蔵庫を開ける。
 僕は、この家の冷蔵庫の中身を把握している。なぜなら、自分で買った物しか入っていないからだ。
「って、聞いてないか……」

▶シーン終了 獲得キーワード ④死亡

天野 : 続けて【フタリソウサ】を使用して⑥も開けたいけど、何かやりたいことある?
牟田 : 特にないかな。どうやってキーワードを手に入れる?
天野 : うーん…やりながら考える。
 ボクは【助けてくれるところ】を強い感情に昇華しようと思う。
牟田 : 今回は【一人で何でもできるところ】を強い感情にしよう。

▶捜査フェイズ フタリソウサシーン 開始 

 昼食は、適当な混ぜご飯をおにぎりにして出した。
 それから甘い卵焼きと、インスタントの味噌汁。残ってた漬物。
 天野は、考え事をしていても、たとえおにぎりでも、割って中身を確認してから口に運んだ。

「毎食毎食、保護犬みたいに食べやがってムカつくな。どうやったら信頼してくれる?」
「牟田さんはもうそういうことしない、って頭では分かってるんだけど。……ふへへっ、笑えるでしょ。あれからさ、牟田さんじゃなくても、他人の手を経由したものを食べるときはちょっと抵抗がある」
「全然笑えない」
「…………いつも、助かってる。――助かってるついでに聞きたいんだけどさ、警察の人間て、何を根拠に犯行時刻を割り出してるんだろう」
「また唐突な。…そうだなぁ……現場の状況や、死体の腐敗具合じゃないか?よくドラマとかで、死後何時間、とか言うだろ」
「腐敗具合か……」

 天野はそれからしばらくは、むっつりと黙って食べていた。
 しかし、急に思い出したかのようにパソコンに向き直り、何かのサイトを開く。
 横からのぞき込むと、それは警視庁のデータベースにアクセスするページだった。あとはIDとパスさえあれは、警察の情報を閲覧し放題だ。
「え、お前何やってんの?」
「ボクたちは、たまたま居合わせただけの完全な部外者だからね。素直に聞いてもそうそう捜査情報なんて開示されない。……えー、と――」
 天野が、慎重に何かを思い出しながら、キーボードを操作すると、ログインが完了して、検索画面が出てくる。
「違法ログインじゃん。犯罪者!」
「ちがっ…!人聞きが悪いこと言わないでよ……」
 天野曰く、以前知り合った警察関係者に、今後必要に迫られた場合に限り自分の権限で閲覧を許可する、と特別なアクセス方法を教えてもらったらしい。
「……っいやまて。その警察関係者、何者?」
「し、知らないよぉ。メールと音声通話のやりとりしかしてないし…――……ええと、なんだっけ。あぁ、林河山での事件について。捜査状況と……」
 気を取り直して、資料をスクロールする。
「で、何を調べるんだ?」
「1つ、思いついたことがある。――最初に死体を触ったとき、やけに冷たいと思ったんだ。まるで冷蔵庫で冷やされていたような。あんな炎天下の中に放置されていたはずなのに。…あの鍾乳洞から吹く風は、ひどく冷たかった。何時間かあの風にさらされて冷やされていたなら、死亡時刻が前後している可能性はないだろうか」
「なるほど、もしも死亡推定時刻が後ろにズレていたなら、加山のアリバイが崩れる」
「だから、警察がどういう根拠で死亡時刻を割り出したのか知りたかったんだ」

 天野がパソコンを操作して、柊裕翔の解剖記録にアクセスする。
 胃の内容物や爪に入った土、衣服の繊維など、遺体に関する子細な情報が羅列されている。その中に死亡時刻に関する物も見られた。
「腐敗の進行具合から、死亡時刻は一昨日の午後三時前後、ということになってはいるが。やっぱり、厳密な時間は特定できなかったらしい。これで加山のアリバイは崩れた訳か」
「うん。でもわからない…何故加山さんが……」
「それでも、少なくとも犯人は断定された。加山が柊裕翔を殺害し、彼と会っていた東山に罪を着せたんだろう」
「…わかってる。でもそれでいいのかな?……なにかが引っかかるんだ。この事件は一筋縄じゃ行かないような気がする」

 後から思えば、この時点でもうこの事件から手を引いていればよかったと思う。
 そうすれば、僕たちは知らないでいられたんだ。この事件の悲しい結末を……――。

▷シーン終了 獲得キーワード ⑥腐敗を遅らせる

天野 : これで二枚目のカードも埋まったから、公開しよう。

知ってたカード2
 東山武を追ったところ、彼は自宅で『④死亡』していた。柊裕翔殺しに使われたナイフは、東山武が持っていたようだ。
 林河山を探してみると、鍾乳洞から「⑤よく冷えた強風」が出ているのがわかった。
 「⑤よく冷えた強風」を使えば『⑥腐敗を遅らせる』ことも可能だ。「⑤よく冷えた強風」の影響で、林河山には「⑦季節外れの杉の木」もある。これでは、アレルギーのある人は大変だろう。

天野 : 実はこのカードをもらった時点で加山が限りなく怪しかったんだよね。
牟田 : 探偵には序盤で加山がアレルギー性鼻炎であることが分かっていたからな。

GM/フェイズ管理 : 知ってたカード3配布

天野 : おぉ……。ようやくこの事件の全貌が見えてきたよ。
牟田 : 気になるな。

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・エンドクレジット・
マップ……おばけの神秘堂 
キャラクターアイコン……海ひつじ屋めーかー 
NPCアイコン……ユーザーアイコンさんメーカー 

・おわりに・
本作は、「平野累次」「冒険支援株式会社」及び「株式会社新紀元社」が権利を有する『バディサスペンスTRPG フタリソウサ』の二次創作物です。
(C)平野累次/冒険企画局

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