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【フタリソウサ】天野廿三の事件簿 エピソード1-6【プレイログ】

・はじめに・
 これは『フタリソウサ』のプレイログを整理したもの、の#6です。#1はこちら
 GM/PL両者私一人なので、多少のぎこちなさはご容赦ください。また、公式ルールブック掲載シナリオ『山の死体』の重大なネタバレを含みます。PLとして楽しみたい方は閲覧非推奨です。
 なお、同性同士のキャラクターがかなり近い距離で接触する描写が多々あります。苦手な方はお気をつけください。

・画像について・
 キャラクターアイコンについては、ぴくるーのメーカーで製作したものを使用しています。
 マップ画像は、フリーで配布されているものを使用しました。
 あわせて記事の最後に、クレジットを記載しております。

・プレイヤーキャラクター・

探偵:天野廿三
年齢:25歳
性別:男
探偵クラス:マニア
背景:暴走する知識欲
ファッション特徴:手入れしていない髪 
好きなもの:本
嫌いなもの:人間
職業:在宅プログラマー
感情:
 気に入っているところ・「ボクが居なくても」
 気に入らないところ・『信頼したい』『気にかけてくれる』『責任取らせてやる』『頼らなきゃいけない』
「助けてくれる」「嫌わなきゃいけない」「イライラしてる」
技能:
 洞察>《嘘》《外見》
 鑑識>《情報》《科学》
 人間>《ビジネス》
 肉体>《追跡》

助手:牟田立夏
年齢:25歳
性別:男
助手クラス:情熱の人
背景:放っておけない
ファッション特徴:ノンフレーム眼鏡
好きなもの:天野廿三
嫌いなもの:天野廿三
職業:無職
感情:
 気に入っているところ・『やっぱりいじめたい』『弱い』「芝居上手」「被害者面」
 気に入らないところ・『もどかしい』『一人で何でもできる』「笑うところ」「説明不足」
技能:
 洞察>《現場》
 鑑識>
 人間>《社交》《説得》《流行》
 肉体>《根性》

・前回までのあらすじ・
 山の死体、三体目。

▶捜査フェイズ サイクル3 開始 シーンプレイヤー探偵

天野 : おそらく、ボクはこの事件の真相に気づいる。
 だからもちろん、牟田くんが見つけた死体が桐山省吾でないことも分かってる。
 このシーンでは、それを裏付ける確認をしたいです。
牟田 : 何の説明もないまま、お前の中だけで全てが完結しているんだが?
天野 : 拗ねないで。

天野 : 1d6 (1D6) > 3
 爪を噛む。噛みすぎて血が出る。

天野 : げ。またか。
 しかたねぇなぁ…。
 シチュエーションは「フォローなし暴走捜査」で。

▷シーン開始

 天野廿三はおざなりにスマホを伏せ、ウェイトレスが運んできた珈琲に角砂糖を7つ放り込んだ。
「……まず、『凛々』のルーツとメンバー同士の空気感について、聞かせてください」
「えっと…あの、今の電話は?死体って言いましたか?」
「気にしないで」

 神谷樹里は、事件となんの関係がと、戸惑いつつも、登山サークル『凛々』について話し始める。
 元々SNSでの集まりから発足したもので、比較的それぞれの繋がりは薄いこと、だから未だにアカウントネームで呼び合うメンバーもいること。
『凛々』の活動を公開している総括アカウントがあり、基本的には自分が管理していること。
 今回の事件に巻き込まれたメンバーは、定期的に会っており各自本名も把握している間柄であること。

「メンバーの空気感は悪くない、と思います」
「それは、加山林蔵と桐山省吾も同様に?」
「もちろん!二人は特に仲が良かった印象があります。確か初めてのオフ会の時に、身長がぴったり一緒だ、とかで話が盛り上がっていました。個人的にも良く会ってたんじゃないかな。……だから桐山さんが行方不明になってからしばらく、少し塞ぎがちだったんです、加山さん」
 神谷の話を聞く天野は、ずっと人差し指の爪を囓っていた。
 昨日も見た光景だ。思考に没入するときの癖なのだろう。
「塞ぎがちだった…?その部分をもう少し詳しく聞かせてください」
「はい。オンラインでの集まりにも参加してなかったし、みんなが近くで会おうって誘ってもあまり乗り気じゃなかったり…。ショックだったんだと思います」
「つまり、そうやって時間を…」
「時間を…?なんですか?」
 聞き返した神谷の言葉は無視された。
 爪を囓るのも、止めた方がいいかとも思ったが、関係の浅い自分がその思考を止めて良いものか…。爪を囓りながら考えにふける姿に狂気のようなモノを感じて、声を掛けづらい、というのもある。
 歯が爪を剥がそうとするペキッという小さな音が耳に届く。それはすぐに、湿気を帯びたペリという響きに代った。
「まだ根拠が弱いかな…あともう一押しな気がするんだけど……――」
「天野さん?…天野さん!」
「…ん?」
 彼は、自分の行動に今気がついた、というようにようやく剥がれ掛けた爪から口を離した。
 唾液と混ざって粘性が下がった血がぽたっとテーブルに落ちる。
「あ、あーあぁ……また牟田くんに怒られる…」
 言いながら、皮一枚で繋がった爪を剥がし切り、手拭きで出血を抑える。

「あの……痛く、ないんですか?」
「痛くはないです。大丈夫、たいしたことじゃないので。問題ないです」
 食い気味に、突き放すような言葉をぶつけられる。強い拒絶を感じて、神谷はそれ以何を言うことも出来なかった。もちろん、他者に踏み込まれたくない部分というのは、誰にだってあるだろう。
「そ、そうですか……」
(それにしても、牟田さんが居るときと全然対応が違う……)

探偵のみ <行為判定>
判定技能:──
不利

天野 : 不利か……。まぁボク、天才なんで(震え)
 不利 1DT(10) > 成功

「……神谷さん、最後に一つだけ聞かせてください」
「な、なんでしょうか?」
「加山さんが花粉症を患った、という話はありますか?」
「うーん、そういう話は聞かないかな。加山さん本人も、花粉は気にならない体質なんだ、って時々自慢してましたよ」

「……あの嘘には意味があったのか…――」
 天野廿三が、ほとんど息だけのような声で呟いた。

 急いでいる様子の男女が、カフェに入ってきたのはその時だった。
 牟田立夏と西口涼子だ。
 店員に断って、神谷と天野が座っているテーブルへまっすぐ近づく。靴や服装から、たった今どこかの登山道から下りてきたような風だ。
「あぁ、牟田さん。よかった…」
 神谷は、天野を御しきれる人物の到来に、ほっと胸をなで下ろした。

「相方がご迷惑をおかけしました」
「早かったね」
 天野が冷め切った珈琲に口をつけながら、妙なねぎらい方をする。
「下山してからタクシーをとばしてもらったんだよ」
「それで?あの遺体について、詳しく聞かせてくれるんでしょうね」

「えっと、その遺体っていうのは、なんの話しですか?」
 問い詰める二人を見て、おろおろする神谷に、天野が簡潔に短い言葉で状況を伝える。

「山から白骨死体が出たんです。━━多分、”加山林蔵さんの死体”でしょうね」

 その一言で、場にいた全員が目を見開き息を飲んだ。

▶シーン終了 獲得キーワード ⑨加山林蔵

GM/フェイズ管理 : 【余裕】を2点減少 困難レベル1上昇
 助手→探偵へ感情を獲得。
 シチュエーションの処理により、余裕を2点減少、困難レベルを1点上昇

牟田 : そうだな、じゃあ……【僕の…】を”気に入った”ところに入れておく、かな。
 何で知らないとこで余所様に迷惑掛けてるんだよ。僕はお前の助手で、お前は僕の探偵なのに。
 そういう気持ちです。

GM/フェイズ管理 : 探偵・助手、両者行動済みにつき、サイクル終了
【余裕】を困難レベル分減少。その後、困難レベルを1点上昇

牟田 : あんなにたくさんあった【余裕】が一桁に。
天野 : 心配しないで、もう最後だから。
 最後の『フタリソウサ』を使用します。
牟田 : 僕は今取った【僕の…】を強い感情にしておく。
天野 : ボクは……【嫌わなきゃいけないところ】を。

▶サイクル4 捜査フェイズ フタリソウサシーン 開始

「あの遺体が加山林蔵、ってどういうことだよ」
 近場にあった薬局の駐車場。天野の右手に消毒液をぶちまけながら尋ねる。人差し指の爪が中程から折れて剥がれていた。
「そのままの意味だよ。二人の人物が山に登って、一人が無事に下山、一人が死体で見つかった。――いたっ…」
 呻き声に応えて一応手の甲をなでてやる。感覚は麻痺していないようでよかった。
「だけど、加山林蔵は生きてる。僕たちも会って話しをしただろ」
「柊裕翔は、三年前に亡くなったはずの『桐山省吾』の亡霊を見た。それは彼が殺害されたことと無関係じゃ無いと思ってる。……もちろん最初から、桐山省吾が生きてる、と思ってたワケじゃない。だから死体を確認しに行ってもらった」
 指先をガーゼで包んでテープで固定する。
「でも単純な算数通り、山からは遺体が出た」
「あの死体が桐山省吾じゃない、と断言したのは、ボクたちと会って話した人物が『加山林蔵』じゃない、と確信できたからだよ」
 昨日張った親指の絆創膏も、ついでに貼り替えてやる。
 天野の指は、どの爪もがたがたに歪んでいる。みんな囓ってしまうので。悪い癖だ。痛かったろうに……。

「……電話口で怒鳴ったのは悪かった」
 僕が素直に謝ると、天野はどうして良いか分からないというように目を泳がせて、
「……自分が上手く説明出来ないのは、わかってる…から。いちいち、話して分かってもらおう、とか……めんどくさい、し」
 その言葉には、どうせ分かってもらえない、という子供っぽい思想も滲んでいて、収まっていたはずの感情がぐつぐつと煮えるのを感じる。
「お前ってほんと馬鹿」
 額にデコピンを一発お見舞いしてやった。

「で、お前が調べたいことって、なんだったんだ?」
「同じことを何度も説明するのは嫌だから、後でまとめるけど…まずコレを見て」
 天野はスマホで、短いネットニュースを表示させた。
 『半グレ集団の計画的強盗。明確な対策検討…』
 五年ほど前の小さな記事で、強盗殺人の疑いで複数の未成年が逮捕された、という内容だった。
「これが?」
「こっちが、その事件について騒いでる匿名掲示板のスレッド。……『桐山省吾』って名前だけじゃ、これしか有力な情報が見つけられなかった」
 また天野はスマホの画面を見せてくる。
 事件の詳細について考察する者や、警察の対応が遅いと憤りをあらわにする書き込みなど、様々な意見がある。その中で異様だったのは、一定の割合で、捕まった未成年の素性を明らかにしようとする輩がいること。そして彼らは皆一様に異常な熱意を持っていた。

「…はへへっ。まるで鯉の池にパンでも投げ込んだみたいだろ。実際、いわゆる”特定厨”って奴らが、当時補導された未成年の素性をさらしあげてる」

 その特定厨の書き込みを追って画面をスクロールしていると、他の何人かの名前と一緒に『桐山省吾』という文字が現れた。
「前科持ちだったのか」
 匿名掲示板の書き込みを信じるならば、彼は強盗殺人で逮捕されていることになる。
「見つけた後、警察のデータベースにアクセスして確認したよ。初犯かつ未成年ということで不起訴になってたけど、ネットの匿名掲示板とはいえ犯罪者として名前が割れちゃってるところを見るとね……。ボクが分かったのはここまで。あとは本人に直接聞きに行くしか」
「……しかし、よく見つけてくるもんだな」
「まぁ特定判の情報収集能力はスパイ並みだから。時々ホラもあるけど…」
「いや、お前のことだよ。五年も前の──しかも大して話題にもならなかった記事なのに。よく見つけてきたよな」
 改めてあいつのスマホで、記事とスレを見比べながら呟く。

「………………。…牟田くんなんて、嫌いだ」

 天野は、しばらく黙っていたかと思うと、それだけ呟いて僕に追突してきた。そのままスマホを奪い返すと、西口涼子と神谷樹里の元に戻っていく。
「…な、なんでだ?なんで今僕は突き飛ばされたんだ??」

▶シーン終了 獲得キーワード ⑩桐山省吾

牟田 : なんだよ、嫌いだって。
天野 : ボクがいなくてもやっていけるくせに……。
牟田 : くっ。この男、めんどくさい!
天野 : ここで、全てのキーワードが出そろったから、知ってたカード3をオープンしますね。

知ってたカード3
 東山武の恋人、西口涼子は「彼は自殺するような人ではない」と主張している。その証拠に、地図を持っていた。地図に従って山を探すと「⑧白骨死体」を発見する。
 これは、「⑨加山林蔵」の「⑧白骨死体」だった。
 では、”彼”は何者なのだろうか?
 調べた結果、『⑩桐山省吾』という人物が浮かび上がった。

GM/フェイズ管理 : 全てのカード、キーワードが出そろったので、捜査フェイズを終了します。
次回はいよいよラスト。真相フェイズです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・go to next⇒

・エンドクレジット・
マップ……おばけの神秘堂
キャラクターアイコン……海ひつじ屋めーかー 
NPCアイコン……ユーザーアイコンさんメーカー 

・おわりに・
本作は、「平野累次」「冒険支援株式会社」及び「株式会社新紀元社」が権利を有する『バディサスペンスTRPG フタリソウサ』の二次創作物です。
(C)平野累次/冒険企画局

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