Across Suez考察〖2〗


累積損害数を算出

 前章の戦力値比較はイスラエル軍優位と結論が出ました。

 今回は、前章で割出した戦力平均値を利用し両軍の予想損害数を導き出してみましょう。

 勿論、ゲーム上に起きる全ての状況を反映したシミュレーションなど私には作れません。そこで、まず複雑になる要素を省き、少しづつ、ゲーム解析に利用できる要素を付け加えていく、というアプローチをとります。

*左図は「Basic3」に同梱されていた入門者用ガイドブックです。

 

損害値シミュレーションの為の簡略化

・マップの地形影響を省く。

・第1ターン、特別ルールを無視する。

・特別ルール、「砲撃」「砲兵支援」の影響を想定しない。

・ヘキサタイプの升目を考慮し、攻撃ユニット数を考慮する。

・CRT戦闘結果「Ar」「Dr」はまだ慮外する。

 地形に関しては、砂漠地帯であり、中央から東部にかけて砂丘がまばらに存在する程度です。かの有名なエポック製「バルジ大作戦」のように深雪と森林に吞み込まれるような影響は無いと想定しました。

 特別ルールがこのゲームには存在します。MayAttackが1ターンに限りMustAttackとなり初期配置から接敵しているユニットは移動不可です。これはイスラエル軍の反攻開始によるエジプト軍の混乱を表現しているそうです。特に数値には影響しない、と判断しました。

 「砲撃」と「砲兵支援」はナイトターン使用不可でデイターンのみの特別ルールであり、後に詳述します。今回は省略。

 マップの升目・・・ヘキサ(六角形の升目)スタイルはウォーゲームを象徴するような升目ではありますが戦線を構築した防御側に対し、3ユニットで攻撃できる箇所、と2ユニットでしか攻撃出来ない箇所が出来てしまいます。今回の攻撃力算出は、1つのへクスを2へクスから攻撃することのみに限定して計算しました。

 CRTの戦闘結果については、損害値を割出す為に「Ae」・「De」・「Ee」の結果のみ抽出します。後退に絡む結果については後述をお許し下さい。

「諸兵連合効果」の処理について

 「諸兵連合効果」について少々解説を・・・装甲大隊と歩兵大隊(機械化歩兵・騎兵含む)が連携し攻撃を行う事でCRTの結果指定欄が1つ、攻撃側に有利になるように修正されるルールです。このルールを省かない理由は「エジプト軍の利用頻度が非常に高い」ことを挙げておきます。このルールを含まないとエジプト軍の数値が成立しない、からです。

*併せて表記も簡略化と変更を致します。

イスラエル軍 ➡ イ軍

エジプト軍 ➡ エ軍

夜間ターン ➡ Night Turn

昼間ターン ➡ Day Turn 

 そして、下記の表がAcrossSuezのCombat Result Table(戦闘結果表。以下CRTと表記)です。作戦級ウォーゲームは戦力比により戦闘結果を導くスタイルが多く、戦力差方式は比較的珍しいCRTと言えます。左の行・1~6の数字はダイスの出目を、上部の黄色で示された列は戦力差を表します。

 参考までに、処理方法の一例を記しておきます。

参考例として

 戦力4の部隊が戦力2の部隊を攻撃する場合は、攻撃側から防御側の戦力を引く。4-2=2。なので「+2、+3」に該当する欄でサイコロを振り、縦横の交差している結果をゲームに反映させます。

 上記の例でダイス6の出目ならば、「Ar」の結果になります。

 結果内容を詳述しますと、Ae「攻撃側全滅」、Ar「攻撃側撤退」、Ee「防御側全滅し、攻撃側は同等以上の戦力を除去する。」、Dr「防御側撤退」、De「防御側全滅」の5種類の戦闘結果が戦力差を反映するように配置してあります。

 さて,早速、7turnまでの戦闘による戦力消耗度を算定してみます。

 イスラエル軍の損害考慮表をお見せします。

 表の左、進行ターン表示と()内の数値は損害を考慮せず、増援を計上しただけのユニット数を現わしています。諸兵*は各ターンに使用可能な諸兵連合効果数を記しました。次の欄「戦力差X戦闘数」は攻撃時の戦闘力差、と可能攻撃数を提示しています。

 前章で提示した両軍の戦力平均値の表を再掲しておきます。参照される方は画像をクリックして下さい。拡大されます。

 各戦闘の攻撃ユニット数は2となりますから、合計攻撃力は6.6(第1turn イ軍戦力平均値は3.3 ✕ 2)同様に、エ軍の防御平均戦力値は1ユニットの防御力値2.5。戦力差は 6.6-2.5=4.1。第1turnのイ軍は攻撃可能大隊数は12ユニット、2ユニット連携による攻撃は最大6箇所。諸兵連合効果は4。4つの戦闘で1シフト有利な攻撃を行い、2つの戦闘がが通常戦闘になります。CRT「+4+5」欄から1つシフトアップし「+6~+8」欄で戦闘結果を振出す攻撃が4、2つの戦闘は「+4+5」の欄で算出。

 上記の計算を、全ターン表示したものが損害考慮表です。

 最後の欄はCRTの欄に従い損害率を記載。「+6~+8」欄でDeを出す確率は17%・Eeは17%という具合です。

 同様に作成したエ軍の損害考慮表が下図になります。

 エ軍の特色は2つ。諸兵連合効果が多いことが一つ。装甲大隊と歩兵大隊がほぼ同数です。攻撃の優位性を保つ為、プレイヤーは積極的にこのルールを利用すべきでしょう。2つ目の特色はイ軍に比べCRTの利用欄が一段低いことです。損害考慮表を参照すると、第1turnは7か所で攻撃可能ですが諸兵連合効果を利用可能な戦闘は5か所のみです。それでも敵除去確率はEeの相討ちのみ(17%)。

 損害数を見る今回の計算ではDr等の後退の戦闘結果は反映しません。上記の理由で、エ軍では諸兵連合効果を反映した攻撃のみを取り上げます。煩雑な説明は終わりにして損害考慮表を参考に、想定損耗率を導きだしましたので、ご覧下さい。

 除去ユニット数と増援ユニット数の加減が発生しターン毎にユニット数が変わり、それに伴い攻撃可能数も増減したのが見てとれます。*数値算定説明は煩雑になりますの割愛します。詳細について興味のある方はコメント等でご連絡を下さい。大した詳細ではないので、がっかりされると思いますよ、知ると。(笑)エ軍攻撃時のEeの処理についてのみ解説します。想定損害数は、損害期待値の積み増しにより算定しましたが、エジプト軍のEe処理に関し、24%の増加分を掛け上げた数値にしています。理由はEeに関するルール「同等の戦力以上のユニットを除去することで処理する」に起因しています。両軍の平均戦力の比較により、24%程度エジプト軍は単体戦力が劣っていると判断しました。その是正を目的としています。想定損耗率表をグラフにして見やすくしてみましょう。

 グラフの基準値は縦がユニット数、横がターン表示です。各ターンの損害数は下部2本のグラフにより表示。両軍とも損害はありますが、エ軍がやや多い傾向ですね。上部2本のグラフは残存大隊数を現わしています。2ターンに両軍の大隊数に逆転が起き、後はゆっくりと大隊数に差が開いて行きますね。最終ターン終了時はイ軍9個大隊。エ軍4個大隊が生き残っています。

 イ軍は6大隊以上をスエズ西岸に渡河させる為、マップ上には3個大隊が残ることに・・・。

 以外に面白い結果なので、計算した自分でも驚いています。以後、この算定結果に基づいて、このゲームにさらに推論を加えて行く予定です。

Across Suez考察〖3〗に続く。


“Across Suez考察〖2〗” への1件のコメント

コメントを残す

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。