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【銀剣のステラナイツ】この出会いにゴールデン・ドーンを【小説風プレイログ】♯3

・はじめに・
 これは、一人でプレイしたステラナイツのログを、小説風にまとめたプレイログ#3です。#1はこちら。
公式サプリメント『星屑のリヴラガーデン』を使用し、『紫弾のオルトリヴート』というワールドセッティングで遊んでいます。
・ブーケについて・
 GM/PL含め一人きりなので、デュエット形式の「戦闘ではブーケを無限個所持していて、通常通り使用できる」というルールを採用しています。フラワースタンドは存在しません。閲覧数やコメントが後投げブーケとします。
・画像について・
 使用している画像はすべてフリー素材や、配布されているものをお借りして作っています。
 記事の最後に、作者様やメーカー様のURLをまとめて掲載しています。

カーテンコール 藤&ダリア
都市捜査機構 地下二階 窓の無い部屋


「銃はこちらです。あえて鍵は閉めません。最後の時間を、悔いなくお過ごしください」
 白い部屋に壁際の事務机。その上に自分が提出した小さな銃と、その弾丸――唯一実弾として残ったフラグメント・バレット。
「…………」
 何を言えばいいかわからないまま、銃身を上げて、弾を込める。
「……初めて会ったときも、こんな部屋だったかしら」
「どう、だったかな。あのときは、窓があったから、別の部屋だったと思うよ。…………ダリアが笑って、窓からタワーが見えてたね」
 素敵な子だと思った。
 おしとやかで、知的で、笑顔がかわいい、女の子らしい子で。もうとっくの昔に死んでいて、今目の前にいるのは、亡霊のようなもの。だけど、私たちに、唯一世界を守る武器をくれた。
「紫、ありがとう」
 銃身を下げて、手元からカチッという音がする。
「お礼を言うのは、私たちの方だよ」
「あなたたちは、途中で終わってしまった私たちに、少しだけ続きをくれる。もちろん、一年は短いの。でも、多くは望まない」
 それは生きている自分たちも変わらない。……多くは望まない。ただ、今までと同じ朝が欲しいだけ。
 銃口を彼女に向けた。
「泣かないで、紫。私の一番大切なお友達」
「……ありがとう、ごめんね」
 また引き金を引いた。
 藤紫はこれまでも、これからも、たくさんのものを犠牲にするだろう。この街を守るために。
シーンカット

カーテンコール 萌葱&ゼニス
都市捜査機構 地上一階 エントランス 人工太陽・消灯済み 午後7時半


 ベンチ横にある自販機で、飲み物を買おうとして、しばし逡巡する。
「ゼニスは、何か飲む?」
「喉は渇いていません」
「そ、そっか……」
 にべもなく断られて、少し肩を落とす。そのまま、彼女とともにベンチに座り直した。
 そういえば、戦闘で負った傷がほとんど残っていない。改めて身体を見渡しても、異常は無い。おそらく、バーンナウトエリア内で作用するなにかのおかげだろう。
(あとで藤さんに聞いてみよう)
「――…藤さんと言えば、帰りの車で椋実さんが、ここで藤さんを待つよう言ってたけど、なんだろう。”略式執行の夜はブリンガーを一人にするな”って」
「……本来、”略式執行”とはブライトに対して使う言葉ですが、ブリンガーの間では、役目を終えたフォージを殺処分する場合も同じく”略式執行”と言うそうです」
「えっ?殺処分って…どういうこと?」
「フォージは、一年が過ぎるとその魂が劣化し、ブライトより強力なロストブライト堕ちた龍という怪物に変貌します。だから、一年以内にフォージを殺処分することが、ブリンガーの責務なのです」
 ゼニスは、表情が無いまま淡々と説明した。
「つまり…つまり僕たちは…………」

 つまり僕は、一年後の今日、彼女を殺さなければならない。

シーンカット

カーテンコール 椋実&メグ
都市捜査機構 地上二階 医務室 人工太陽・消灯済み 午後7時半


「……仕方ないとはいえ、湿布くさいのは可愛くないなぁ…」
 メグは医務室のベッドに腰掛けて、サポーターで固定された足首を眺める。
「他に怪我ないか?さっきバタバタしてたから、よく確認できなかったろ」
「え?うん?……ええと、わかんないけど、たぶん大丈夫」
 よし、とガッツポーズをとるが、その肘がすりむけて赤くなっている。もう血は固まっていた。
「ここ。――…………まじで、コンビニ寄る時間あんなら、もっとよく確認しろってんだよな。馬鹿かよ俺は」
 椋実が、落胆した様子で棚から消毒液と絆創膏を出すと、隣に座って手当をしてくれる。その手つきがメグにはとても優しく思えて、自然と顔がほころぶ。
「えへへっ大丈夫だってばぁー。血もあんまり出てないでしょ。心配しないで、ムッくん!」
「そりゃ、心配ぐらいはするだろ」
「えっ……」
「長くて一年とはいえ、自分の命を預ける相棒なんだからな」
 メグの肘に、大判の絆創膏を貼って椋実が立ち上がる。
「な、なぁーんだそういうことかぁ!ちょっとびっくりしちゃった!やだもぉー!」
「なにを一人で勘違いして盛り上がってるんだか…。――……この後、晩飯がてら13班で集まるけど、お前は先に家に帰るか?」
「えー!やだよー!一緒にいくからね!脚だってちゃんと固定したから、もうこの通り普通に歩いたってっ……――うわっ」
 勢い込んで立ち上がるが、姿勢を崩してぐらっと揺れる。
「あぶなっ!マジでお前無理するなよ!」
「へへへっ……ごめんなさーい。でも無理はしないから、一緒につれてって?」
「しゃーねぇなぁ……」
シーンカット

カーテンコール 蘇芳&アザレ
アンサング・タワービル 町一番高いビル 最上階展望ラウンジ 人工太陽・消灯済み 午後七時半


「ここ、昼間もきたじゃないか。どうして……」
 エレベーターの扉が開いた途端、言葉を失った。
 アザレたちの足下には”満天の星空”が広がっている。家の明かり、店の明かり、街灯の明かり……。様々な”街の明かり”が、真っ暗な地上にちりばめられていて、まるで星空が反転したようだった。
「どうしてって、好きだからだよ」
 蘇芳も、ガラス越しに見える星雲を見下ろす。
「この星明かりは偽物だが、今日俺たちが守ったモノだ。俺たちが守った街だ」
「俺たちが…守った街……。そうか、美しいな…………」
 ガラスに近寄って街明かりを見下ろした。
「この景色が俺のやりがいで、お前の死因」
「これは仕方ないな…。俺もこの景色は好きだ。これが、やりがいか……」
 しばらく何も言わず、二人並んでこの街で一番美しい景色を眺めた。
 いつのまにか周囲の人はいなくなり、展望ラウンジには蛍の光が流れ始めていた。
「もうそんな時間か…」
 蘇芳が腕時計を確認する。
「そろそろ行こう、相棒。みんな待ってるだろうしな」
「それって、来るときに言ってた”略式執行の夜はブリンガーを一人にするな”ってやつか?」
「ああ、前任の班長が決めたんだ。……何年か前、自殺したブリンガーがいてな」
 もはやアザレは、”そんなに追い詰められてまでどうして”とは思わなかった。
 最後にもう一度だけ、足下のミルキーウェイを見てからきびすを返した。
「そんなに名残惜しければ、また来よう。タワーは逃げない」
「……あぁ、そうだな」
 アザレは思う。
 自分は、あと一年で何度この景色をみることができるんだろう。いや、一年も時間があるだろうか。
シーンカット

カーテンコール 打ち上げ
駅前 居酒屋 個室席 人工太陽・消灯済み 午後八時過ぎ


藤 : 「とりあえずビールを…えっと、一つ?」
椋実 : 「俺は車っスから、烏龍茶で」
蘇芳 : 「俺もバイクだから、烏龍茶二つかな」
萌葱 : (藤さん一人で飲ませるのって、なんだか寂しいな……)
「ぼ、僕は一応、ギリ成人してます。けど、お酒って飲んだこと無いんですよね……。初めて飲むなら、どういうのがいい、ですか?」
蘇芳 : 「ウォッカ・マティーニをステアではなくシェイクで?」
椋実 : 「ニコラシカ?」
藤 : 「ニコラシカもボンドマティーニも、ただの居酒屋にはありません。――カシスオレンジにしてみたら?度数も高くないし、おいしいんじゃないかな?」
萌葱 : 「わ、わかりました……」
椋実 : 「フォージメンツも、烏龍でいいか?」
メグ : 「はいはーい、私はオレンジジュース!」
アザレ : 「コーラで」
ゼニス : 「……よくわからないので、烏龍茶で」
藤 : 「すみませーん。ビール一つと、カシオレを一つ。それから、オレンジジュースとコーラ、烏龍茶。枝豆と唐揚げと…」
椋実 : 「馬刺しユッケ」
蘇芳 : 「焼き鳥盛り合わせ」
メグ : 「だし巻き卵!」
アザレ : 「生ハムのサラダ」
藤 : 「……じゃあひとまずそんな感じでお願いします」

 ほどなくして、それぞれの飲み物が行き渡った。

藤 : 「では改めまして。みんな、今日はおつかれさまでした」
萌葱 : 「藤さんこそ、…その……お、おつかれさまでしたっ」
藤 : 「……ありがとう。――私たちのこの出会いが、希望の夜明けゴールデン・ドーンの兆しであることを願って。乾杯!」


 気の抜けた中途半端な歓声と、いくつかのジョッキグラスが、かつん、と鳴った。
 長かった一日が終わっていく。
 この世界は今日もまた一日、”生き延びた”
シーンカット

・エンドクレジット・
 セッションツール:ココフォリア

キャラクターアイコン

蘇芳……ストイックな男メーカー
  作者様クレジット 安田昴
アザレ……Ryon式おとこのこ
椋実……수릐 픽크루
メグ……YSDメーカー
藤……たょ錬成
ダリア……さくメーカー
エネミー……Silhouette Pal Maker!

花章素材
制作:染谷様 https://www.pixiv.net/artworks/84496906

マップ素材
制作:クルリ様  https://www.pixiv.net/artworks/73373793

本作は「どらこにあん」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『銀剣のステラナイツ』の二次創作です。
(C)Fuyu Takizato / Draconian
(C)KADOKAWA

・あとがき・
 最初に、こんな長丁場のセッションログを最後まで読んでくれて、ありがとうございました。お疲れ様でした。
 初めまして、TwitterName:若夢者こと、叡智王子です。
 今回は思わぬ三部作になってしまったので、初めてのあとがきとして、短くしめさせていただきます。
 かなり難易度の高い挑戦をした自覚はあります。本来4~5人の人間が集まって遊ぶものを、一つの脳みそで賄うのは、少々無理がありましたね。
 はじめは調子に乗って「SSを書いてつなげていけばいいんでしょ、一人でもよゆーですよ」と思っていたけど、続けていくウチに自分で自分の首を絞めたことを思い知り今に至ります。普通の短編小説を書くのとは訳が違ったわけです。なんでメインキャラが八人とか九人とかいるんだろう。
 反省はしていますが、またやると思います。今回作ったPCはどれも、自分がやりたくて作ったキャラクターなので、また使いたいし。ただ、もう一度挑戦するときは、もう少しなにか、工夫をしようと思っています。未来の自分が何か考えていることを祈っておきます。
 今回は、全体的に中途半端になってしまった部分もありますが、そこも含め一つのチャレンジとして楽しんでもらえれば嬉しいです。
 さて、分量も良いところなので、このあたりでおしまいにします。
 それでは、また別のTRPG、あるいはまた別のセッションログで会いましょう。
 おやすみなさい。

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