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The Case of UK 1st Airborne Division

Drop Point[ Area8 / Area19 ] Logistics Strategy

Overview

 Region1はエリア数が「10」と他戦域よりも1エリア少なく構成されています。Arnhem市街(Area13)周辺エリアはTEMも高く設定されており、ドイツ軍の浸透移動も成功しやすくなっています。

 「MONTY’S GAMBLE.考察3【Red Devils】prequel」にて触れましたがArnhem市街(Area13)を先に手に入れる権利は連合軍プレイヤーにあります。基本ゲームにおいてはその権利を行使することは勝利条件到達の必要条件である、と見做せます。勿論、必要条件ですから他の要素が要件を満たしてしまうならば、Arnhem市街(Area13)を失ってもゲームに勝利することが可能です。しかしながら、Arnhem市街を押さえなかった為に生じる負の要因は想像以上に重いのもまた事実です。限りなく絶対条件に近い必要条件、そう表現して良いエリアがArnhem市街(Area13)なのです。

Drop Point :Area 8 / Area 19

 Region1は、特にDrop pointエリアの扱いは基本ゲームと延長ゲームでは重要度の方向性がいささか違うようです。今回は基本ゲームを扱うため延長戦には触れませんが、戦略的解釈がこれほど変わるゲームも珍しいかもしれません。

 英 第1空挺師団を救出すべきか否か?……基本ゲームは連合軍プレイヤーに、この選択を突き付けてきます。何故ならば、ある一定の条件が揃うとArnhem市街に地上軍が到達しなくても、勝利条件を満たす事が可能だからです。作戦完遂のために一個師団の壊滅は目をつぶる。将棋で言う処の「捨て駒」というやつです。好悪を無視し端的に表現すると、Red Devilsを救出に向かわずに違う方面に部隊を差し向ける方が、楽にVPを獲得でき勝利条件の達成が容易くなる……このような状況が発生し得るならば、この選択をあなたは考慮に含むべきでしょうか。

Area8A

減衰率 52.50%
分散Ⅴ(x) [0.64] / 平均(m) [1.4] / 標準偏差σ(x) [0.8]

Arrea19A’

減衰率 59.17%
分散Ⅴ(x) [0.89] / 平均(m) [1.9] / 標準偏差σ(x) [0.943398113]

 二つのDrop pointエリアを比較しました。比較結果は明らかにArea8がRegion1のDrop pointに最も適していることを示しています。Area19よりも減衰率は5%以上低く、分散も弱い……他戦域より構成エリア数が「一つ少ない」影響もありますが、この数値はMONTY’S GAMBLEに指定されている全てのDrop pointエリアとの比較においても最も低く、兵站の受給効率が良い、と言えるでしょう。

 問題点を挙げるとすれば、それは地勢的なものです。Area8はRhine River北岸に位置し、マーケットガーデン作戦全域で最も北端に存在します。Drop pointエリアに対するドイツ軍のプレッシャーは他戦域の比では有りません。Rhine River北岸は全ドイツ軍増援の約5割がゲームに登場する地域です。Red Devilsは軽装の一個師団……本来ならまともに対峙出来るはずもないでしょう。彼らの戦いは史実同様に苛烈を極めるはずです。

 Area8と対照的なのがもう一つのDrop point、Area19。Rhine River南岸に指定されたこのDrop pointはドイツ軍の影響力がゲーム中最も弱い戦域に在る為に投下物資は安定して確保可能ですが、その代わり北岸エリアへの兵站供給は高い運搬コストが必要となります。

Comparison : Ideal Curve

理想曲線……比較対象としてRegion1と同数のエリアを持つ、最も兵站の運搬効率が良い、架空の戦域を創造します。

 Monty‘s Gambleのシステムに則った架空の戦域は、Region1と同じ「10」エリアとし、後の算出の為、母数を合わせるようにしました。そして不可欠な条件として「総運搬コストが最も低い戦域になるようにエリアを構成する」ように作成します。

 上記の条件に則り構成した戦域が以下になります。Drop Pointエリアは「1」つ。Drop Pointエリアに残りの「9」エリア全てが隣接する戦域。

数値に置き替えると数表は以下のような戦域となります。

Ideal Curve

エリア数「10」(内訳:Drop pointエリアが「1」、投下エリアに隣接するエリアが「9」)

 Drop Pointエリアの運搬コストは「0」。他エリア:Drop Pointへ隣接するエリアの運搬コストは「1」×9エリア。

従って この架空戦域の総運搬コストは「9」…おそらく同条件下の戦域で最も低い総運搬コストかと考えます。

Area8 : Map / 減衰率 / 正規分布

Area8B

減衰率 51.39%
    分散Ⅴ(x) [0.55]  /  平均(m) [1.5]  /   標準偏差σ(x) [0.74169849]

Area8C

減衰率 51.67%
   分散Ⅴ(x) [0.52]  /  平均(m) [1.6]  /    標準偏差σ(x) [0.721110255]

Area8Ⅾ

減衰率 38.89%
   分散Ⅴ(x) [0.2]  /  平均(m) [1]   /   標準偏差σ(x) [0.447213595]

 Region1において、Red Devilsの最大の作戦目標はArnhem大河橋(Area13)の奪取であり、その達成はゲームの展開上、明確に約束されています。問題は9/20(第4ターン)終了までその支配が維持可能かどうか……ドイツ軍の猛攻に耐えうる戦略的・戦術的基盤を構築出来るかどうか、にかかっています。

 戦術的基盤とは、どのエリアを支配するか? そして手持ちの部隊をそこにどの程度分配配置するか(戦力配分の軽重はやや戦略的めいてもいますが)……ここでは勝手ではありますが、「戦略的」という単語の定義を「兵站の配分と運搬コスト」に限定することとし、話を進めさせていただきます。ご了承ください。

 Area8をDrop pointとして、三種の数表を先にご覧頂きましたが、いかがだったでしょう。

 増援部隊の降下地点等の戦略上必要と思われるエリアを残し、不要なエリアを斫ることで、兵站の運搬コストをどの程度下げれるかを調べた数表です。

 Area8B・Area8C・Area8Dとよりタイトにエリアを絞り込み最終的にはArnhem市街(Area13)とArea8を結ぶエリアのみを戦略的に必須のエリアとして残してあります。それでは、理想曲線として作成したIdeal Curveを加えAreaBを中心に据えた運搬コストの推移をまとめた図表でご覧ください。

 

 Region1の最も効率的な兵站運搬コストをIdeal Curveが顕している、と考えて下さい。

 各曲線の頂点は全てIdeal Curveの頂点より右に位置しています。これは運搬コストの平均値がIdeal Curveより高いことを示し、曲線の山が低く幅広い形は標準偏差の度合いが広い(誤解を恐れずに表現しますと、運搬コストによるロスが大きい。)為に生じる曲線です。

 Ideal Curveにより近い曲線を示しているのがArea8D。最もよいコストパフォーマンスを示しています。

 興味深いのは、Area8Aの平均が、Area8B・Area8Cより小さい点です。活動範囲を縮小しコストを抑えているにも関わらず運搬コスト平均が上昇しています。標準偏差は想定通りにより低い数値を示しているのですが……。

 Area8Dが「最も兵站受給効率が良い」と判断できそうです。活動範囲を制限するためにエリアを削りに削ったが故に求められた数値ですから「当然の結果」とも言えます。問題は該当エリアの周囲との関係性でしょうか。ドイツ軍犇くRhine River北岸でこのエリア構成は地勢的に無理があるかもしれません。最も大事にしなければならないエリアであり兵站受給の要と言えるArea8が最も北に位置し狙われやすい。Area7が交戦状態に陥るとArnhem市街(Area13)との連絡線は寸断される、など不安の種は尽きません。Area8は攻勢時には最前線に最も近くにある兵站受給ポイントとなりえますが、守りにくいエリアであることは常に意識が必要でしょう。

Area19 : Map / 減衰率 / 正規分布

 Area19の利点は「守りやすさ」にあります。Region1のエリア構成は、Rhine Riverの北岸に8エリア、南岸に2エリアの合計10エリアです。さらにドイツ軍の増援部隊は主に Rhine River北岸の「北端・東端」から登場します。しかしArea19はRegion1の西部に位置し、しかもRhine River南岸、とドイツ軍の戦力集中地点からは真反対のポジショニングです。

Area19B’

減衰率 51.39%
   分散Ⅴ(x) [0.55]  /  平均(m) [1.5]    /  標準偏差σ(x) [0.741619849]

Area19C’

減衰率 46.67%
   分散Ⅴ(x) [0.28]  /  平均(m) [1.2]    /  標準偏差σ(x) [0.529150262]

Area19D’

減衰率 41.67%
   分散Ⅴ(x) [0.175]  /  平均(m) [1]   /   標準偏差σ(x) [0.418330013]

Area19E’

減衰率 38.89%
   分散Ⅴ(x) [0.2]  /  平均(m) [1]   /    標準偏差σ(x) [0.447213595]

 Area19B’からArea19E’まで一貫しているのは、守勢を貫く部隊方針です。Arnhem市街(Area13)への兵站供給を主軸として維持しつつ徐々に外周エリアへの兵站供給を削るようにサンプルを用意しています。

 Region1は、基本ゲームと延長ゲームでは基本方針がまるで変わる……いや、プレイヤーの意思でまるで変わって良い、特色を持っています。

 延長ゲームは9/17~9/24(全8ターン)と長く、中盤以降の争点はRhineRiverの渡河と北部への突破です。前半の「流動的な戦線の展開」という強くプレイアビリティが高まる展開が収束した後の戦いが主軸です。そのため、RedDevilsの戦略は守勢と攻勢の両面で構成されなければならない必要に迫られます。その点、基本ゲームでは9/17~9/20の四日間に焦点を当て、作戦範囲全域の流動性を描くため、Region1周辺の扱いの比重が延長ゲームに比べ低く、守勢のみの方針で勝利条件の達成が可能である、と言い切れてしまいます。上記の理由により、Region1北東部に集中するVPエリアは今回の考察では考慮点から除外しています。このあたりのVPエリアは延長ゲーム用に用意されたガジェットなのです。

 Area19A’を含め、Area19B’からArea19E’の五つの分布曲線とIdeal Curveを比較した図表を用意しました。

 Area8の図表と同様にエリア数が少ないサンプルほど、Ideal Curveに近似してゆく様が見て取れます……が、よくご覧になるとArea19D’とArea19E’が逆転しているのが分かるかと思います。

 両サンプルとも平均は「1」と同軸上にあることを顕していますが、エリア数が一つ少なくなっているため、減衰率は2%強程度Area19E’のほうが低いのです。ただし、Area19D’の分散と標準偏差の数値のほうが小さい為に図表上はArea19D’がより兵站受給の効率が良い、との判断に至る分布曲線を描いています。

result of analysis

 Red Devilsは9/20(第4ターン)終了時点までArnhem市街(Area13)を確保・維持しなければならない。これは部隊が全滅しても達成しなければならない、過酷な作戦目標です。この目標達成により連合軍プレイヤーは+2VPを孤立した地点から手に入れることに成功します。これは基本ゲーム全体から見て非常に大きなアドバンテージになるでしょう。

 そして、この図表が作戦成功のための一助になるかもしれません。ここには最も兵站受給効率の良い、上位三点のサンプルを残しました。Area8DとArea19E’が同軸・同数値のため、2色に色分けした分布曲線で表現しています。そして同軸ではありますが、頭一つ抜けた効率的なサンプルがArea19D’である、と判断出来るでしょう。

「The Case of UK 1st Airborne Division」 has ended.

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