東洋史最古のウォーゲーム

 中国の思想家に墨子という人物がいるのはご存知でしょうか。

 著名な人物です。知っている、当たり前だ。一般常識だ。と皆様に三佐がお叱りを受けることでしょうね。

 質素倹約を旨とする人物で有名な墨子。ですが、「彼が軍事専門家だった」と私が言えば、皆さんは“はて?”と首をひねるに違いありません。もしくは一笑に付されるか。

 面白いことに、墨子の思想を表した書物に、優秀な攻城兵器開発者の公輸般と墨子が机上の模擬戦闘によって議論を戦わせる場面が描かれているのです。故事、”墨守”の言われとなった経緯ある古物語です。

 時は秦が中国統一を成し遂げる少し前…数多の小国が大国にのみ込まれ消えていった時代です。

 ある国が隣国に攻め込もうと準備を整えている最中、墨子が王に謁見を求めます。

 墨子は「武力による侵略は王の威厳を損なう」と隣国攻撃の中止を要請。さらに墨子は「武力侵攻は失敗する」とまで言い切るのです。

 王は墨子の言葉を嗤います。

「余の軍は強い。さらに優秀な攻城兵器が揃っている。それでも貴殿はわが国が負けると思うのか」

 墨子は笑みを浮かべながら自らの帯をほどき机の上に立てていきます、城壁に見立てて……即席のゲームボードが出来上がりました。

 机上演習にて王を説得するつもりです。

 王は公輸般を呼び、攻城と防御の知恵比べが始まりました……

 

 いかがでしょうか。ウォーゲームに少しでも興味がおありならば、引き込まれてしまうようなお話です。もし興味が湧かなかったのならそれは小生の駄文のせいでしょう。物語の途中では有りますが、このあたりで私の筆は留めておきます。この物語は酒見賢一先生の小説も出版されていますので出典として紹介させて頂きます。

徳間書店刊 「中国の思想Ⅴ 墨子」
新潮文庫 「墨攻」 著者・酒見賢一

 ご一読、有難う御座いました。

「東洋史最古のウォーゲーム」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 【ドイツ軍プレイヤーから見るバルジ大作戦】作戦級ゲームのミニマムな兵站戦略 – Table Game World

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